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ユーロは対ドルで、2002年以降14年ぶりの安値を更新した。この水準でも、多くの金融機関は一段のドル高を予想している。米ゴールドマンサックスのストラティジストは顧客レポートの中で、米国の財政拡大、金融規制の緩和が実現すれば、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを加速させ、ドルや米債利回りを一段と上昇させるとの見解を示した。FRBが発表しているus trade weighted major currencydollar(FRED)貿易ベース(対ユーロ、カナダ、日本、英国、スイス、オーストラリア、スウェーデン)でのドルの価値が現状96.59からあと、4.3%上昇する余地があると指摘。10年債利回りは2017年に2.75%まで上昇すると見ている。
財政刺激策の拡大はインフレを押し上げ、市場やFRBが予想している以上に早いペースで緩和策を解除していくことになると見ている。さらに、金融規制の解除は、S&P500種指数を2400まで押し上げると指摘。
トランプ次期政権と米下院共和党は、来年実施を目指す大幅な税制改革についての協議を進めている。ドイツ銀行は、その中でも、改革案に盛り込まれている国境において課税を調整する案「border adjustability」が実現した場合、ドルの大幅な上昇につながると指摘している。改革案の柱となる「border adjustability」は、国境における課税調整で、輸出品に対する課税を免除する一方で、輸入品には課税する方式。
輸出品売上を免税とすることで製造業にはプラスとなるが、一方で輸入品は課税されるため、輸入の依存度が高い業界にとっては影響が大きい。自動車や小売産業などはコスト高を主張し、改革案を批判。改革案からこの条項を外すよう求めているようだ。しかし、共和党側は、法人税率の3.5%から2.0%への引き下げ、企業の海外利益への課税取り止めなど、改革案全体的に考えれば効果があるはずだと主張している。
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