米連邦準備制度理事会(FRB)は本年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り過去10年回で昨年12月に続き2度目の利上げに踏み切った。これにより、トランプ次期大統領がFRB機関の改革に着手することが回避されると安心感も広がった。トランプ次期大統領は選挙中、連邦準備制度理事会(FRB)の機関や民主党であるイエレン議長を、政治的な理由から金利を低くとどめていると厳しく非難。しかし、トランプ氏が次期財務長官に指名した元ゴールドマンサックスのトレーダー、スティーブン・ムニューチン氏は、指名後のインタビューにおいて、イエレンFRB議長のことを称賛している。トランプ次期大統領の金融政策に関する見解は不透明。

市場の80%はトランプ次期政権によるイエレンFRB議長の再任はないと見ている。イエレンFRB議長の任期は2018年2月まで。議長は15日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、任期まで現職に留まる意向を再確認した。議長はまた、新政権が発足したあと、議会がFRB議長の任期を延長する傾向にあると言及。任期を延長することにより、連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を明確化することが可能となると指摘した。

一方、イエレンFRB議長のFRB理事としての任期は2024年まで。トランプ政権が2期継続すれば、FRBに留まることができる。このため、イエレンFRB議長は、2018年2月に議長職の任期が訪れ再任されなかった場合にも理事としてFRBに留まる可能性にも言及した。議長は会見で、FRBの金融政策が後手に回っていないと繰り返した。

FOMCは予測で2017年に3回の利上げ予想を示した。2016年初頭の予測で、FOMCは最大で3−4回の利上げを予想していたが、結局、12月の1回に留まった。このため、債券市場では、FOMCの見通しに懐疑的見方も依然少なくなく、FOMCが信頼を失いつつあるのは確かだ。2017年には信頼回復がなるかどうかに注目される。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:FOMC、17年に信頼回復なるか