ヨシハラ博士は2010年12月、米国海軍協会が発行している『論文集(PROCEEDINGS)』に「中国海軍:コーベット戦略への変化(China’s Navy : A Turn to Corbet?)」を発表している。中国がマハンの「海上権力史論」を高く評価して、シーレーン防衛と制海権獲得の重要性を認識して「海洋国家」への転換を図り、海軍増強に努めてきた。そして、シーパワーが徐々に形になってきた近年、海洋国家としてさらなる進歩に向け、中国の軍事分野における専門家たちは、陸海軍の統合運用の重要性を説いた 「コーベットの理論」に戦略の方向性を移行しつつあると説明している。マハンの戦略で中国周辺から米海軍を排除し、制海権を獲得する(A2/AD : Anti-Access/Area Denial)ことから進化して、コーベットの戦略による海上作戦に引き続く陸上作戦となる統合作戦への進化を思い描いているというのだ。中国は、今後強襲揚陸艦を建造し、上陸作戦機能の強化を図り、数多くの島嶼、領土を防護する将来の中国の戦略環境に適用しようと試みるだろうとみている。