昨年10-12月期の中国GDPは前年比+6.7%と予想されており、伸び率は昨年7-9月期と同水準になるとみられている。個人消費はまずまず堅調であり、景気を下支えしている。鉱工業生産の伸びはやや鈍化しつつあるものの、生産活動の低下を明確に示す数字ではないとみられており、中国経済の急速な悪化に対する市場の警戒感はやや低下しているようだ。

 ただし、トランプ次期大統領は中国製品に高い関税をかける考えを表明していることや、人民元相場の意図的な操作によって米企業の競争力が損なわれていると批判していることから、次期米政権の出方次第で中国経済の先行きに対する不安が再び強まる可能性は残されている。中国は人民元安の進行を阻止する方針を維持しており、人民元安によって貿易の競争力を高めようという意図はないとみられている。

 市場関係者の間からは、「トランプ政権の正式発足後の早い時期に為替に関して米国と中国の二国間協議が行われるのではないか?」との声が聞かれている。人民元は次期基軸通貨の最有力候補であるが、米国はドルが基軸通貨としての地位を失うことを明らかに嫌っているようだ。基軸通貨の座を巡る米中の対立は激化するものとみられる。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 米中間で基軸通貨争い?