23日の日本株市場はこう着感の強い相場展開になりそうだ。22日の米国市場ではNYダウが68ドル高だった。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が下院特別小委員会証言で、タカ派色を強めるとの警戒感から売りが先行した。しかし、質疑応答において、議長が労働市場の回復は程遠く、実際のインフレが上昇するまで、先制的な利上げを回避する慎重な姿勢を繰り返したため上昇に転じた。長期金利の低下でハイテク株も買われ、ナスダックは史上最高値を更新した。シカゴ日経225先物清算値は大阪比45円高の28795円。円相場は1ドル110円60銭台で推移している。

 シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになりそうだ。パウエルFRB議長の議会証言で改めてハト派発言が示されたことが安心感に繋がる可能性はある。ただし、ハト派発言は想定されていたこともあり、いったんは安心材料になるものの、昨日は東証1部の9割超の銘柄が上昇し、日経平均構成銘柄のすべてが値を上げていた。先物主導によるインデックス売買が中心ではあるものの、利益確定の動きも意識されやすいところではある。

 もっとも、ナスダックは最高値を更新したほか、VIX指数も低下している。アップルなど大型テック株の一角やエヌビディアなど半導体株なども物色されており、押し目買い意欲は強そうである。そのため、日経平均は5日、25日線レベルでの攻防を見せているが、この水準を明確に上放れてくるようだと、節目の29000円を意識したトレンド形成に向かいやすいため、調整場面では押し目を狙いたいところである。

 また、昨日の大幅上昇でも東証1部の売買高は11億株にとどまっていた。インデックスに絡んだ売買のため物色対象は定まらないだろうが、NT倍率は直近のボトム水準まで低下してきていることもあり、ややグロース優位の展開を想定。また、個別に材料の出ている銘柄のほか、政策絡みの銘柄への物色は活発だろう。
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情報提供元: FISCO
記事名:「 節目の29000円を意識したトレンド形成に向かうかを見極め