31日の日本株市場は、引き続きこう着感の強い相場展開になりそうだ。30日の米国市場はNYダウが43ドル高と小幅に上昇した。ただ、買い戻しが先行したが、その後中国政府が貿易摩擦の高まりを背景に米国産大豆の購入を保留したことから、投資家心理が悪化。原油相場の下落なども嫌気され、引けにかけて弱含みとなっている。シカゴ日経225先物清算値は大阪比15円高の20945円。円相場は1ドル109円60銭台で推移している。

 昨日の日経平均はリターン・リバーサル中心の商いとなる中、ファーストリテ<9983>が重石となり、ほぼ2か月ぶりに終値ベースでは節目の21000円を下回った。5月半ばに付けた
20750円処の安値は下回っていないほか、結果的には日中高値引けであり、不安感が強まることはなかったが、心理的には21000円が上値抵抗として意識されてくる可能性はありそうだ。一方で足元の底堅さのほか、月末ドレッシング意識から下値は堅い。

 週末要因もあって積極的な売買は皆無であり、リターン・リバーサル中心の状況が続こう。外部環境の不透明感から引き続き積極的な物色は手控えられると考えられ、米中貿易摩擦の行方についても、少なくとも6月下旬に開催予定の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で米中首脳会談を予定していることから、それまでは大きな進展もないだろう。方向感が掴みづらい中でポジションを傾けづらく、下へも仕掛けづらい需給状況である。

 そのため、大型連休明け後から売り込まれているハイテクセクターなどへは、先行き不透明ながらも、いったんは買い戻しを意識した短期的な値幅取り狙いの売買が意識されやすい。一方でリスク回避姿勢から買われていた内需ディフェンシブ銘柄へは利益確定といったところである。

 また、個人は直近IPOや値動きの軽い材料株物色などに資金が向かいやすいだろう。昨日は中国が米国への対抗措置としてレアアースの輸出制限を検討していることを受けて、レアアース関連が物色されていた。米中関係が泥沼化する中、こういった関連銘柄はしばらく材料視されそうである。


<AK>

情報提供元: FISCO
記事名:「 リターン・リバーサル中心の状況が継続