[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;31776.06;+210.42TOPIX;2257.85;+16.36


[後場の投資戦略]

 日経平均は続伸ながらも、75日移動平均線が上値抵抗線として作用しており、同線を手前にした上値の重さが意識される。一方、東証株価指数(TOPIX)は75日線が下値支持線として機能しているが、13週線がやはり上値抵抗線として作用しており、上値の重い印象は拭えない。

 前日はエヌビディアを筆頭とした半導体関連株やハイテク・グロース(成長)株が相場をけん引し、ナスダック総合指数は1.56%、フィラデルフィア半導体株指数
(SOX)は2.83%と大幅に上昇した。これに対し、為替が再び1ドル=146円台に乗せ、円安・ドル高も進んでいる状況も踏まえると、日本株の上昇率の鈍さはやや気になる。

 また、本日はハイテク・グロース株が反発しているが、先週末にかけて上昇が一服していた米長期金利は早々に上昇を再開している。米10年債利回りは前日21日、一時4.35%を付け、2007年以来の水準にまで上昇した。海外投資家の夏季休暇入りに伴って商いが減少し、ボラティリティー(変動率)が高まりやすいとはいえ、ここ最近の米長期金利の上昇ペースの速さは懸念材料だ。

 25日の国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのテーマは「世界経済の構造変化」である。米国では、景気や物価への影響が中立的な金利水準とされる自然利子率がコロナ禍での相次ぐ財政政策などにより引き上がっているとの議論が活発化してきている。こうしたなか、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で自然利子率の上昇について言及した場合には、米長期金利が一段と上昇する可能性がある。

 多くの外資系大手証券のストラテジストらが足元の米10年債は買い場だと指摘している。ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演を無難に消化し、海外投資家も夏季休暇から戻って商いが復活すれば、たしかに米長期金利が低下に転じる可能性は十分にある。しかし、一方で、米経済が本当にソフトランディング(軟着陸)に成功するのであれば、米長期金利の低下余地はさほど大きくないのかもしれない。また、米政府の財政赤字の補填を目的に中長期債の発行規模が拡大されている。需給悪化による金利上昇圧力は長期的なものと思われ、金利の先行きについては楽観視できないだろう。ハイテク・グロース株の上値追いには慎重になるべきと考える。
(仲村幸浩)
<AK>
情報提供元: FISCO
記事名:「 ハイテクに押し目買いも上値の重さ拭えず