[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;32338.95;+134.62TOPIX;2296.12;+13.55


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は寄り付きと同時に一時32000円割れ目前の水準まで下落したが、その後は前引けまでほぼ一本調子で水準を切り上げ、前日比でプラス圏に浮上。本日の安値からの上げ幅は300円を超える。

 日経平均はこれまで度々32000円を割り込む局面があったが、毎回、32000円台に早期に浮上し、押し目買い意欲を見せていたが、今週に入ってからは特に32000円手前からの下げ渋りが目立っており、底堅さを改めて確認できている。

 日米長期金利の上昇や米国債の格付け引き下げなどを背景に先週から株式市場のムードが悪くなっていたが、日本株はかなり粘り強さを見せているといえる。日米長期金利の上昇も今週は一服しており、前日に行われた米10年物国債入札でも需要の堅調さが確認され、安心感につながっている。

 一方、国内は明日から3連休で立ち会いは本日が最後となる。こうしたなか、今晩には米7月消費者物価指数(CPI)、明日11日には米7月卸売物価指数(PPI)が発表予定だ。米7月CPIは総合および食品・エネルギーを除いたコア指数ともに前月比+0.2%と前回6月分と同じ伸びが予想されている。一方、前年同月比では総合が+3.3%と6月(+3.0%)から加速する見込みで、コア指数は前年同月比+4.7%と6月分
(+4.8%)から小幅な鈍化が予想されている。ある程度は織り込み済みとはいえ、CPIコア指数が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を大幅に上回ったままであるなか、CPI総合の伸びが13カ月ぶりに加速に転じるとなると、インフレ高止まりが想起される恐れがある。

 商品市況の動きなどを背景に、米CPIは次回以降の8月分、9月分の方が警戒されていて、今回の7月分については、事前の市場関係者の間ではさほど警戒する声は聞かれていない。しかし、前日は、労働者のストライキを背景とした供給リスクから欧州の天然ガス先物価格が急上昇したほか、直近、上昇基調を強めている原油市況は、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト、期近物)が一時1バレル=84ドル台後半と9カ月ぶりの水準にまで上昇した。コモディティ価格の動向が気がかりななか、警戒度が低い7月分から予想比で上振れとなると、次回8月分以降への警戒感は一段と上昇するだろう。その場合には、株式市場で再びリスク回避の動きが強まる恐れがある。

 米物価指標の上振れは日米金利差の拡大による円安・ドル高を通じて日本株の相対的な底堅さに寄与する可能性もあるが、現値水準から一段と円安・ドル高が進むと、輸入インフレが再燃する恐れがあり、日本銀行の年内の追加政策修正への思惑なども高まりかねない。国内連休の間の海外市場の動向には注意したい。
(仲村幸浩)
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情報提供元: FISCO
記事名:「 国内連休中の海外市場に注目