[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28639.05;-59.21TOPIX;1863.81;-9.47


[後場の投資戦略]

 前場の日経平均は前日終値を挟み一進一退の展開となった。米国の追加経済対策やパウエル氏発言の内容はおおむね事前の想定どおりで、上値追い材料とはみなされていないのだろう。また、前日までの5日続伸で1600円を超える上昇となっていたうえ、前日は引けにかけて一時400円前後上げ幅を縮める場面もあったため、高値警戒感が意識されやすいところか。前日の当欄で指摘したとおり、13日から14日午前にかけて株価指数先物がやや薄商いとなっており、こうした場面で上下に大きく振らされることもあると再確認しておきたい。

 さらに、今晩の米国では12月の小売売上高や鉱工業生産といった各種経済指標、それにシティグループやJPモルガン・チェースなど金融大手の10-12月期決算が発表される予定のため、これらの内容を見極めたいという思惑もあるかもしれない。

 日経平均の寄与度上位を見ると、決算発表したファーストリテの押し下げが大きい。また前日もそうだったが、先行して値を戻していたバリュー(割安)セクターも上値が重くなりつつある印象。全体としてはやはり週末を前に利益確定の売りが優勢といったところだ。

 とはいえ、日経平均が1600円超上昇したあとの調整としては軽微と言えるだろう。
日経平均と同様、前日引けにかけて急失速した半導体関連株だが、結局TSMCの決算を受けて上値追いの動きを維持している。キヤノンやAGC<5201>といった大企業製造業の10-12月期業績が想定ほど悪化しなかったことが確認できたのも明るい材料だし、新興企業ではクラウド名刺管理サービスのSansan<4443>などが好決算だ。

 また、前日の当欄で述べた出遅れ感の強いセクターへの買いも継続している。ちなみに、筆者はリバーサル(株価の反転上昇)期待の本命を日本製鉄<5401>などの鉄鋼、それにENEOS<5020>などの石油・石炭製品とみている。ともに出遅れ感が強く、見直しの手掛かり材料も出てきた。また、ダークホースとしてはブリヂス<5108>
などのゴム製品を挙げている。まだアナリストらの信頼感が高まっているとは言えないが、7-9月期などは着実に業況回復してきている。

 米経済対策やパウエル氏発言の内容も確かにサプライズとまでは言えないが、結果的に株式市場にとって「居心地のいい環境」が続くということだろう。

 本日ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまり。利益確定の売りが出る一方で、相応の買いが入っていることが窺える。東証株価指数(TOPIX)は0.51%の下落で前場を折り返しており、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施されそうだが、それ以上に投資家の根強い買い意欲が相場を下支えしそうだ。
(小林大純)
<AK>
情報提供元: FISCO
記事名:「 利益確定売り優勢でも「明るい材料」