- 週間ランキング
で前場の取引を終えている。
18日の米株式市場はキング牧師誕生日の祝日で休場だった。ただ、欧州ではドイツ株式指数(DAX)などが小じっかり。また、イエレン次期米財務長官が19日に予定される公聴会で大規模な経済対策の必要性を示す方針などと海外メディアが報じ、本日の日経平均はこれらを好感して163円高からスタート。指数寄与度の高いファーストリテ
<9983>が買われたこともあり、寄り付き後の日経平均は上げ幅を広げ、前場中ごろには28669.87円(427.66円高)まで上昇する場面があった。
個別では、前述のファーストリテが3%の上昇となり、1銘柄で日経平均を約102円押し上げた。一部証券会社の目標株価引き上げが観測されたほか、傘下のユニクロでスマートフォン決済サービスに参入すると報じられている。太陽誘電<6976>やローム<6963>といった電子部品株の一角、日産自<7201>、東京電力HD<9501>も上げが目立つ。その他ではソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、東エレク<8035>などが堅調で、三井E&S<7003>が東証1部上昇率トップとなっている。一方、エムスリー<2413>やルネサス<6723>が軟調で、レノバ<9519>も利益確定売り優勢で2%超の下落。また、タカショー<7590>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、ゴム製品、繊維製品、電気・ガス業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。鉱業と精密機器の2業種のみ下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の50%、対して値下がり銘柄は43%となっている。
本日の日経平均は反発し、300円を超える上昇で前場を折り返した。米国では3連休後、19日にイエレン氏の公聴会、また20日にバイデン次期米大統領の就任式といった重要イベントが控えており、朝方はこう着感の強い展開を見込む声が多かった。ただ、日経平均は15日、18日の2日間で450円あまり下落しており、「押し目では拾いたい」という投資家の買いを誘ったのだろう。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆円に乗せており、米休場明けであることを考慮すれば取引はまずまず活発と言える。先週の当欄で度々述べたが、やはり投資家の現物株への買い意欲は根強く、なかなか調整らしい調整には至らない。
物色動向としては、エムスリーやルネサス、新興株が利益確定売りに押される一方、景気敏感株などに買いが入り、おおむね前日までの動きのリバーサル(株価の反転)的な様相。これも先週の「短期リバーサルが続く」との予想どおりだろう。
大規模な財政出動や金融緩和が継続し、株式市場にとって当面「居心地のいい環境」が続きそうなのは従前指摘したとおり。こうした背景から「株高に乗り遅れまい」とする動きは根強いし、筆者はいわゆる「老後資金2000万円問題」やコロナ禍を通じ、個人が資産形成に対する意識を高めていることも大きいと考えている(このあたりは後日改めて解説したい)。
とはいえ、米国で政権交代が確実視されるようになった昨年11月以降、日経平均は大幅に上昇してきた。振り返れば、昨年10月末時点では22977.13円。それが今年1月14日には一時28979.53円まで上昇したため、値幅にしておよそ6000円だ。この間、出遅れていた景気敏感系バリュー(割安)株の上昇が大きかったものの、主力グロース
(成長)株も直近高値を付けるなどしっかりした値動きが続いた。「両睨み」の物色とも、「いいとこ取り」の物色とも言えるだろう。
しかし、ここにきて「噂で買って事実で売る」という格言を多く目にするようになったように、20日にバイデン次期米大統領が正式就任すれば、その政権運営を「直視」せざるを得ない局面となる。なお終息が見通せないコロナ禍への対応が注目されるが、上院が与野党ほぼ均衡という状況で政策の早期実現は可能か。また、「打倒トランプ大統領」の一点で結束していた民主党がそれを維持できるかも気になるところ。急伸左派の声が大きくなっていった場合、政権運営にはどのような影響を与えるだろうか。また、トランプ氏が退任しても熱狂的な同氏支持者は残る。先日の議会乱入事件の記憶が新しいだけに、バイデン氏就任で平穏を取り戻せるか不安はある。
国内情勢でも、菅政権の支持率低下を懸念材料に挙げる外資系証券や海外メディアが増えてきた点には注意したい。えてして国内と海外で政治情勢の見え方は異なるものだ。
「強気だが、今後の市場環境は見通しづらい」という投資家心理も短期リバーサル相場の背景にあるのだろう。
(小林大純)
<AK>