日経平均は4日続伸。89.73円高の19039.91円(出来高概算7億4000万株)で前場の取引を終えている。

 7日の米株式市場でNYダウは小幅に反落し、26ドル安となった。中国・武漢の封鎖が解除されたことなどから、前日に続き世界的な新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化しつつあるとの期待が先行し、一時937ドル高まで上昇する場面もあった。しかし、ニューヨーク州で再び1日当たりの死者数が過去最多となるなどして警戒ムードは依然根強く、原油相場の急落も加わってNYダウは伸び悩んだ。本日の日経平均も買い戻しが先行し97円高からスタートしたものの、一段の上値追いの動きは乏しく、19000円を挟み一進一退の展開となった。

 個別では、ファーストリテ<9983>が4%近い上昇となり、1銘柄で日経平均を約60円押し上げた。トヨタ自<7203>やOLC<4661>もしっかり。エムスリー<2413>や神戸物産<3038>は一部証券会社の投資判断引き上げ観測を手掛かりに賑わった。決算や業績修正を発表した銘柄ではディップ<2379>が買い先行となり、SMN<6185>は急伸。インテリックス<8940>はストップ高水準で前場を折り返した。一方、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、富士フイルム<4901>がさえない。主力ゲーム機の国内出荷を一時停止したと伝わった任天堂<7974>は小幅に下落した。また、ヘリオステクノ<6927>などが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、空運業、陸運業、証券などが上昇率上位。半面、鉱業、石油・石炭製品、不動産業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は36%となっている。

 日経平均はプラス圏で前場を折り返したが、上値の重さも感じさせる動きで、朝方には下げ幅を200円超に広げる場面があった。ファーストリテとエムスリーの2銘柄で約85円の押し上げ要因となっており、これらがなければ前日比ほぼ変わらずといったところ。売買代金上位ではやや値下がり銘柄が多い印象で、業種別では内需・ディフェンシブセクターが堅調、一方で原油相場急落などから商品関連セクターが軟調だ。
ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりと前日よりやや減っている。

 日経平均の日足チャートを見ると、前日高値(19162.52円)を前に伸び悩む一方、1
8650円近辺に位置する25日移動平均線が下値を支える格好で、ややこう着感を強めている。海外で新型コロナ拡大への懸念が和らいでいることから、断続的に株価指数先物の買い戻しが入っているとみられるが、3月下旬の戻り局面で壁となった19000円超の水準で積極的に買い上がろうとする向きも少ないことが窺える。やはり国内外での新型コロナの経済・企業業績への影響や、緊急事態宣言が発令された日本の感染者数推移を見極めたいとのムードが強い。前日に当欄で述べた、「19000円超」の壁突破にはなお時間を要するとの見方に変更はない。

 セクターや個別株でも、一段の上値追いへの警戒ムードが広がったり、戻りが鈍くなったりし、前日までの上昇の「リターン・リバーサル」的な流れとなっているようだ。株価指数がこう着感を強めれば、当面は日替わりでの資金循環となりそうだ。中小型株でもこれまで賑わっていた「テレワーク」「遠隔医療」といったテーマ株に利益確定の売りが出ている。一方でジャスダックの低位株が賑わっているところを見ると、個人投資家の物色にも手詰まり感が出てきていると考えられる。手掛けづらい相場と言えるだろう。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は4日続伸、指数こう着で個別物色も手掛けづらさ強める