2日の日経平均は4日続落。154.34円安の17911.07円(出来高概算7億1395万株)で前場の取引を終えた。前日の米国市場では、米政権が新型ウイルスによる死亡者数が10万~24万人に達するとの見通しを示し、特に今後2週間は痛みを伴う厳しい状況になると警告したことで、経済活動の再開が一段と遅れ、企業収益や景気にさらなる悪影響が及ぶとの懸念が高まり投資家心理が悪化。また、3月のADP雇用統計やISM製造業景況指数も予想通りとはいえ景気の悪化を裏付ける内容となり、引けにかけて下げ幅を一段と拡大した。国内外において新型コロナ感染者数の拡大に収束の兆しがみえない中、リスク回避の流れが継続し、日経平均は早い段階で一時300円超と下落し、17700円付近の水準を付ける場面もあった。ただ、その後は下げ渋り、前引けにかけて急速に下げ幅を縮小した。

 セクターでは、鉱業、保険、石油の3業種のみ小幅にプラスで、そのほか30業種はすべてマイナス推移。特に空運、金融、金属、不動産、ガラス、繊維、銀行、証券の下げが大きい。東証1部の売買代金上位では、任天堂<7974>、トヨタ<7203>、ファーストリテ<9983>、三菱UFJ<8306>、リクルートHD<6098>などが下落している一方、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、OLC<4661>、KDDI<9433>などは1%強から2%程度の上昇となっている。

 日経平均は二番底へ向けた局面に入っている可能性が出てきた。昨日、寄り付き直前に発表された3月の日銀短観において想定通りとはいえ、悲観的な内容が発表されたにも関わらず、じりじりと下げ幅を縮小した底堅さを受けて、18500円か~19500円レンジでの値固めを目指すかと昨日当欄において書いたが、昨日の後場は結局大引けにかけて急速に売りに押された。本日もリスク回避の流れが続いて朝方は節目の18000円をあっさりと割り込んで始まった。その後、昨日大引け直前からの下落幅が大きかったこともあり、押し目買いや自律反発といった形で前引けにかけて下げ幅を縮小したが、やや不安感が残る。

 結局、市場の関心は新型コロナ感染者の拡大ペース、自粛制限などがいつまで続くのかというこの一点に集まっていると思われる。前日の米国市場でも、ADP雇用統計やISM製造業景況指数といった経済指標の内容よりは、新型コロナによる死亡者数見通しの方により大きな反応を示しているような印象だった。感染者数の拡大にいつ歯止めがかかるのか、ひいてはいつになれば経済活動が再開されるのか、それ次第で「4-6月期ボトムの7-9月期急回復シナリオ」という現在有力なシナリオを本当に信じてよいのかどうかが変わってくるからだ。昨日は、日本国内でも再び1日あたりの感染者数が200人超という3ケタ(過去最高)を記録した。本日の朝方の下落も、ロックダウン(都市封鎖)の可能性が濃厚となってきていることを警戒した売りによるものと思われる。

 また、昨日の日銀によるETF買いが1214億円と、3月半ば以降の1日あたり2016億円に比べて縮小していたことも嫌気されるところだ。2016億円の買い入れを初めて行った先月19日は、前引け時点でTOPIXは前日比プラスだった。こうしたところから日銀のスタンスの変化、ETF買いによる需給面での下支え要因が強く意識されるところではあったが、昨日は前場時点で一時1%強とTOPIXが下げていたにもかかわらず規模が縮小された。期末の公的年金等によるリバランスに伴う買いや配当再投資が無くなったいま、需給面では唯一の支えである日銀ETF買いの存在が薄れてくると短期筋の仕掛け的な売りも行いやすくなってくると警戒される。

 昨日は、結局前引け時点ではTOPIXは0.5%程度の下落に留まったが、本日は同時点において1%を超える下落となっている。水準としてもリバウンド局面が続いた3月末頃と比べると相当に低くなってきていることから、本日は改めて2000億円レベルの日銀ETF買いが予想されるところだ。こうした後場の下げ渋りが予想されるなか、本日もマザーズ指数を中心とした新興市場は東証1部に比べて相対的に底堅い。昨日も指摘したように、投げ売り局面は一服し、個人投資家の中小型株物色の動きが強まってきているのかもしれない。そのため、明確なトレンドが出てくるまでは景気敏感セクターの大型株は避け、幕間繋ぎ的な形でAIやクラウドといった相対的にコロナの影響が軽微なセクターに絞って、中小型株への選別を強めるのも一つの戦略といえよう。
(仲村幸浩)


<AK>

情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は4日続落、リスク回避の流れが継続、日銀ETF買いの下支え意識も薄れたか