日経平均は大幅反落。509.36円安の21031.63円(出来高概算7億1000万株)で前場の取引を終えている。

 1日の米株式市場でNYダウは280ドル安と3日続落。利下げ継続への期待が持ち直したものの、トランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドル相当に9月1日より10%の追加関税を課す計画を表明し、米中摩擦激化への懸念が再燃した。前日に1ドル=109円台前半で推移していた為替相場も今朝方には107円台前半まで円高に振れ、本日の日経平均はこうした流れを嫌気して329円安からスタート。寄り付き後も主要企業のさえない決算が嫌気されたうえ、円相場が一時1ドル=106円台を付けるなど強含み、日経平均は前引けにかけて一時21018.73円(522.26円安)まで下落した。東証1部の値下がり銘柄は全体の9割強に上り、全面安の展開だった。

 個別では、任天堂<7974>、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、ファーストリテ<
9983>、トヨタ自<7203>など売買代金上位は軒並み下落。電子部品の太陽誘電<6976>やFA(ファクトリーオートメーション)の安川電<6506>は米中摩擦激化への懸念から下げが目立った。決算発表銘柄ではKDDI<9433>などが売り優勢で、日本製鉄<5401>
は事業環境の厳しさが意識されて8%超の下落。また、アウトソシング<2427>や古河電工<5801>、シャープ<6753>が東証1部下落率上位に顔を出した。一方、売買代金上位ではZOZO<3092>と花王<4452>が逆行高。好決算銘柄に買いが入り、カプコン<9697>
が13%近い上昇で東証1部上昇率2位にランクインし、イビデン<4062>やカシオ計<6952>も急伸。また、レーティング引き上げ観測のITM<2148>はストップ高水準まで買われた。セクターでは、全33業種がマイナスとなり、鉄鋼、非鉄金属、鉱業、海運業、機械などが下落率上位だった。

 日経平均は500円を超える下落で前場を折り返した。ここまで発表された主要企業の4-6月期決算は強弱入り混じる内容ではあるが、半導体関連を中心に業績底打ちへの期待が高まり、日経平均の押し上げに寄与してきた。しかし、トランプ氏が対中制裁関税「第4弾」の発動に言及したことで、先行き懸念が再び台頭する可能性がある。2015年の中国元急落をきっかけとした「チャイナ・ショック」以来、市場では8月の波乱相場が警戒されてきたが、現実味を増してきたと捉える向きも出てくるだろう。

 こうしたなか、後場の取引時間中にトヨタ自の第1四半期決算が発表される予定。今回も日本企業全体の業績動向を探るうえで注目されるだろう。なお市場予想コンセンサスでは、営業利益で7000億円弱と2%ほどの増益が見込まれている。また、米国では7月雇用統計の発表が予定されており、その内容を見極めたいとの思惑も出てきそうだ。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は大幅反落、「波乱の8月」意識しつつトヨタ決算へ