日経平均は反落。74.85円安の21481.66円(出来高概算5億5913万株)で前場の取引を終えている。

 前日の米国株式相場では、インドとパキスタンを巡る地政学リスクへの警戒感から売りが先行。米朝首脳会談の結果を見極めたいとの思惑が広がるなか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が議会証言で資産縮小の早期停止を示唆したものの、相場を押し上げるには至らなかった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比変わらずの21560円。後述する米中交渉の長期化が嫌気され、朝方から東京市場は利益確定の売りが優勢となった。とりわけ、米SOX(フィラデルフィア半導体株)指数の下落を背景にハイテク関連が全般さえない動きになっている。一方で、中国株をはじめとしたアジア株式市場が比較的底堅い動きをみせており、日経平均も前引けにかけてやや下げ幅を縮小した。

 セクターでは、海運業や電気機器、その他製品が1%を超える下落となった一方で、鉱業、水産・農林業、石油・石炭製品などはプラス圏での動きに。売買代金上位では、消費者機構が契約実態を調査と伝わった大東建託<1878>が6%安となったほか、任天堂<7974>、ZOZO<3092>、ソニー<6758>、レオパレス21<8848>、SUMCO<3436>、ファナック<6954>、東京エレクトロン<8035>が軟調。一方で、武田薬<4502>、リクルートHD<6098>、ネクソン<3659>は堅調。

 インドとパキスタンを巡る地政学リスクへの警戒感の高まりは投資家にとって重しとなりやすいものの、足元で国内外の株式市場で全般売り込まれる流れには至っていないことを踏まえると現状の東京市場に対しても大幅な下落要因にはならないとみられている。一方で、前日の米国市場では、米通商代表部のライトハイザー代表が米中貿易協議の楽観論をけん制する発言をした流れから、東京市場では交渉長期化が改めて警戒される格好となっている。また、今晩は米国による10-12月期の実質GDPが発表される予定である。12月の小売売上高に加えて住宅着工件数も低調だったことが要因となり、市場コンセンサスが切り下がる格好となっていることからも懸念材料として意識されてこよう。

 足元の東証一部の出来高は10億株を割り込む場面も確認されており、東京市場は年初から2月半ばにかけて一段と薄商いである。先物手口動向でも、大きくポジションを傾ける主体は確認されておらず、短期筋の売買が中心となっている。週末にかけて米中欧の経済指標や貿易交渉に対するニュースフローが出やすくなるなか、これらを警戒したインデックス売買により資金の逃げ足が速くなる展開には注意しておきたい。


<AK>

情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は反落、薄商いのなかで短期筋による手口に注意