日経平均は5日ぶり反発。144.90円高の21691.89円(出来高概算6億5000万株)で前場の取引を終えている。

 休場明けとなった5日の米国市場でNYダウは181ドル高と反発した。欧米間の自動車・自動車部品への関税を巡る貿易摩擦への懸念が後退。マイクロン・テクノロジーが中国の裁判所による販売禁止処分の影響は軽微との見方を示し、半導体関連株も買われた。為替市場では朝方、円相場が1ドル=110.60円近辺で落ち着いた動きを見せており、本日の日経平均は買い戻しが先行して100円高からスタートした。朝方には21796.07円(249.08円高)まで上昇する場面もあったが、その後は伸び悩む展開となった。

 個別では、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、キーエンス<6861>
などが堅調。半導体関連株ではSUMCO<3436>などが買われる一方、東エレク<8035>は伸び悩み小幅高となった。村田製<6981>は4%超高と上げが目立つ。また、早期アルツハイマー病患者を対象とした新薬候補の試験結果が好感されたエーザイ<4523>はストップ高水準まで買われた。一方、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、資生堂<4911>などがさえない。良品計画<7453>は続落して4%安。決算発表の7&iHD<3382>は朝高後に値を崩し、小幅安で前場の取引を終えた。セクターでは、医薬品、鉄鋼、卸売業などが上昇率上位。半面、石油・石炭製品、その他製品、サービス業などが下落率上位となった。

 米中・米欧貿易摩擦の深刻化への懸念が和らぎ、米国株が比較的堅調だったことも安心感につながって、本日の東京市場ではひとまず買い戻しの動きが先行した。しかし、トランプ米大統領は中国に対する制裁関税を予定どおり本日発動すると表明している。中国も報復措置を実施する構えを見せているため、双方の反応を見極めたいところだろう。さらに米国では6月雇用統計の発表も控えているとあって、買い戻し一巡後の日経平均は上値の重い展開を強いられている。中国・上海総合指数が弱含みとなっているため、後場の日経平均は一段と上げ幅を縮める可能性もある。

 やはり日経平均の上げ幅に比べると相場全体の重苦しさが意識されているのか、新薬候補の試験結果を発表したエーザイ<4523>、米同業から欧州事業の一部を買収すると発表した大陽日酸<4091>、決算発表のクスリのアオキ<3549>といった個別材料株に物色が集中しているようだ。新興市場でも直近IPO銘柄のロジザード<4391>やバイオ株のラクオリア創薬
<4579>などが値を飛ばしている。ただ、重要イベントを控え資金の逃げ足が速まる可能性もあるため注意しておきたい。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は5日ぶり反発、買い戻し一巡後の重さから材料株に資金集中も