日経平均は3日ぶり大幅反落。235.86円安の22245.23円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。

 28日の英米市場は休場だったが、欧州の主要株式市場がイタリアやスペインの政治情勢に対する懸念から下落。本日の東京市場でもこうした流れを引き継いで、日経平均は49円安からスタートした。寄り付き後は米長期金利の低下とともに円相場が1ドル=109円近辺まで上昇し、主力の輸出関連株や金融株が売られた。株価指数先物には円高を嫌気した売りが出て、日経平均は前引けにかけて22240.39円(240.70円安)まで下落する場面があった。

 個別では、ソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>といった指数寄与度の大きい値がさ株が軟調で、それぞれ日経平均を25円超押し下げた。三菱UFJ<8306>、トヨタ自<
7203>、ソニー<6758>などもさえない。JDI<6740>やミネベアミツミ<6479>は商いを伴って急落。米アップルがスマートフォン「iPhone」の19年にリリースする全ての新型モデルに有機ELを採用することを決定したなどと報じられ、売りが広がったようだ。一方、業績上方修正の東海カーボ<5301>が売買代金トップで7%高。任天堂<7974>や花王<4452>も堅調な展開だった。セクターでは、パルプ・紙、非鉄金属、鉄鋼などが下落率上位。上昇したのはその他製品のみだった。

 朝鮮半島や中東情勢を巡る地政学リスク、米国の保護主義的な通商政策に加え、南欧政治の先行き不透明感まで台頭し、金融市場には再びリスクオフムードが広がっている。為替の円安一服も鮮明となっており、当面は企業業績の上振れに期待した買いは鳴りを潜めると考えざるを得ない。後場に入ると日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ観測が下値の支えとなるだろうが、連休明けとなる米国市場の反応を見極めたいとの思惑から積極的な押し目買いは入りづらいと考えられる。

 新興市場でもマザーズ指数が2%の下落で前場を折り返すなど、リスク回避の動きが広がっている。業績修正を発表した銘柄や業績観測報道の伝わった銘柄が散発的に買われているが、こうした個別材料株や外部環境の影響を受けにくい花王などの内需・ディフェンシブ関連株を除けば物色は広がりを欠きそうだ。
(小林大純)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は3日ぶり大幅反落、欧州政治リスクも台頭し強気シナリオに影