ロシア外務省は12日、2名のドイツ外交官を国外退去させると発表した。これはドイツによるロシア人外交官の国外追放に対する報復措置だとみられている。ただ、両国は外交官の国外退去について、これ以上に追究せず、穏便な解決策を模索していると指摘されている。

ドイツは8月にベルリンで起きたグルジア人男性の殺人事件の捜査について、ロシアが十分な協力を進まなかったと批判したことが外交官の海外退去の背景にあるとみられている。ただ、ドイツ側の議員は、「ノルドストリーム2(ロシアが進める欧州向けの天然ガスのパイプライン計画で、略称はノルド2)」の交渉が重要な時期に差し掛かっているため、ほかの国に利用されないよう注意する必要があると警告した。

バルト海の海底を通じてロシアとドイツを結ぶ「ノルド2」は来年早々完工する見通しだ。同パイプラインの完成に伴い、欧州のガス市場におけるロシアの影響力が一段と強まると予測されている。また、ドイツ側は安価なガスを輸入することができるため、同計画には協力的な姿勢を示している。

ただ、ガス輸出を拡大したい米国は、ノルド2の完成は米国による欧州市場での影響力を低下させる恐れがあると警戒している。ロシアの地元メディアによると、米国は欧州のガス市場における米国の影響力を低下させるため、ロシアに対して経済制裁を追加することを検討しているという。

なお、同計画はロシアの天然ガス最大手ガスプロムが手掛けているため、ガスプロムを含むロシアの企業・個人への追加制裁は近く発表されると懸念されている。


<AN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 【中国の視点】独露の外交官国外追放、「ノルド2」計画に影響も