不確実性が高まるトランプ経済政策を受け、今年下期の米ドルの値動きに対し、米ドル安が進行するとの見方がやや優勢になっている。

中国の専門家は、「米国第一主義」を唱えるトランプ経済政策について、輸入企業や消費拡大に寄与するものの、輸出に依存している米製造業を打撃するため、強い米ドルが継続する環境は整っていないと指摘した。また、各国の中央銀行が自国の金融政策をやや引き締め路線に傾いているため、これも米ドルの上値を押さえる可能性が高いと予測した。

ほかに、トランプ政権の財政政策が市場予想ほど拡張していないほか、米医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決も見送られたため、米財政政策や税制改革計画の打ち出す時期が遅れると懸念する投資家も少なくないと強調されている。

国際通貨基金(IMF)はこのほど、トランプ政権の財政刺激策の不明瞭さを指摘し、今年と来年の米成長予想を2.1%まで引き下げた。

中国の政府系シンクタンクである社会科学院は、トランプ経済政策の不確定性と矛盾性を指摘。また、米国の減税や貿易、投資など重要な政策決定がはっきりされていないため、これが米ドルの先行き不透明感を強めるとの見方を示した。ただ、社会科学院は、米ドルが下落に転じると判断するのは時期尚早だと強調した。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【中国の視点】米ドルの後半戦、不確実なトランプ政策で下落予想がやや優勢