トランプ米大統領は12日、中国が為替操作を実施していないとの認識を示した。大統領の発言を受け、翌日13日の人民元の対米ドル為替レートは一時大幅に上昇した。ただ、大統領は、中国を「為替操作国」から外した理由について、地政学的リスクの高まりに伴い、中国の協力が必要になるとも発言していた。

中国の専門家は、米中間の為替問題に関する対立が終結していない上、トランプ政権が「為替操作」よりも「不均衡」を重視する姿勢を示していると指摘。現時点では中国を為替操作から外したとしても不均衡と認定すれば、再び中国に圧力を掛けるとの見方を示した。また、米中が米国の対中貿易赤字の削減に向けた「100日計画」の策定で合意したが、短期間での貿易赤字の削減が困難であるため、為替問題が再び提起される可能性が高いと予測した。

中国は2015年に完全な固定相場制から管理変動相場制に移動しており、アジア金融危機が発生した時に元の下落を避ける手法は現時点では通用しない。米中が為替問題をめぐる意見が再び対立した場合、元の下落圧力が再び高まる恐れがあるとの見方が優勢になっている。

ただ、トランプ政策への期待が2017年に入ってからやや後退しているため、元の対米ドル下落圧力も緩和されている。また、元の対米ドル仲値は元高設定に傾いているため、これも元をサポートする材料になると指摘されている。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【中国の視点】元安圧力、「為替操作国」から外しても軽減せず