日本の所得税と海外赴任先の所得税


まずは、所得税について確認していきます。日本の企業に勤務しており、1年以上の予定で海外に赴任する場合、原則として所得税法上の非居住者となります。

 

そして、非居住者の場合、会社からの給与以外に所得がなければ、原則として国外での勤務によって得た給与に日本の所得税はかかりません。海外赴任手当という費目でお金を受け取った場合も同様に、日本の所得税はかかりません。

 

一方で、海外赴任先の国で、給与や海外赴任手当に所得税がかかる可能性があります。例えば、アメリカや中国、インド、シンガポール、タイなどの国に赴任した場合、その国に税金を納めるのが一般的です。

 

税率は国によって異なるため、日本にいたケースに比べて、税金が高くなる場合もあれば、逆に税負担が減ることもあるでしょう。

 


社会保険料の負担はどうなる?


次に、社会保険料を確認していきます。日本の企業に雇用されたまま海外赴任をした場合、原則として日本の健康保険や厚生年金は継続されます。つまり、保険料は納付し続ける必要があります。

 

社会保険料は、収入を基準とした「標準報酬月額」というもので決められます。この標準報酬月額には、海外赴任手当などの手当も含めて計算されます。

 

日本で勤務していたときに比べ、海外赴任をした際には、手当が加算されるため、標準報酬月額が多くなり、結果として支払うべき社会保険料の金額が上がるという可能性が考えられます。

 

なお、海外赴任中の場合、介護保険は原則として対象外となります。また、海外赴任中に病院で医療費を支払うケースを考えると、現地の保険や海外駐在者向けの医療保険への加入を検討するとよいでしょう。

 

日本で社会保険料を支払っていても、海外の病院で医療費負担が発生した場合、その場で健康保険の3割負担(または1割か2割負担)は適用されません。帰国後などに、海外療養費として健康保険組合に請求することはできますが、海外現地でまず自分で高額な医療費を支払う必要があります。

 

海外赴任中の医療費負担が心配という方は、日本で社会保険料を納めつつも、現地での保険をどうするか考えておくようにしましょう。

 


海外赴任中の社会保険料の支払い方


日本の会社に雇用されたまま海外赴任をする場合、海外赴任中の社会保険料は、基本的に、給与から天引きされます。

 

もし日本で受け取る給与が少なく、給与の大部分を海外赴任先から受け取った場合でも、日本の社会保険に加入したままであれば、日本の会社が控除するか一時的に立て替えることで、社会保険料を支払います。

 

海外赴任をする場合、税金の納付や社会保険料の支払いをどのようにしたら分からないケースもあるでしょう。その場合、やはり日本企業の人事部に問い合わせをして、疑問点を解決しておくのがおすすめです。

 


まとめ


海外赴任は、引っ越しの準備や渡航先の調査、現地で住む家探しなど、やらなければいけないことがたくさんあります。お金関連については、つい後回しになるケースも多いですが、今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてください。

 

そして、現地での所得税や日本の社会保険料など、お金の払い忘れには十分注意するようにしましょう。

 


出典


国税庁 No.1920 海外勤務と所得税額の精算

全国健康保険協会(協会けんぽ) 海外療養費

 

執筆者 : 下中英恵

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 1年間の海外赴任が決まりました。会社から「海外赴任手当」が出るそうですが、手当には税金や社会保険料がかかりますか? 」