定年を迎えた父に貯金額を聞いたら、「ほぼゼロだよ」と言われてビックリ! 老後の生活が心配ですが、貯蓄がほとんどないまま定年を迎える人は珍しくないのでしょうか?
60歳代で金融資産がない世帯は12.8%
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、二人以上世帯における50歳代と60歳代の金融資産保有状況は、表1のとおりです。
表1
| 年代 | 金融資産非保有の割合 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 50歳代 | 18.2% | 1908万円 | 700万円 |
| 60歳代 | 12.8% | 2683万円 | 1400万円 |
出典:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年(二人以上世帯)」を基に筆者作成
調査によると、60歳代で金融資産を保有していない世帯は12.8%でした。つまり、約8世帯に1世帯は金融資産を持っていないことになります。
一方、60歳代の金融資産保有額は平均2683万円、中央値1400万円でした。中央値とは、金額が少ない順に並べたときに中央に位置する金額です。平均値は一部の資産が多い世帯の影響を受けるため、一般的な世帯の状況を知る際には中央値も参考になります。
なお、この調査における金融資産には、預貯金や株式、投資信託などが含まれます。ただし、預貯金のうち、日常的な支払いや引き落としに備えている部分は含まれません。そのため、金融資産を保有していない世帯でも、銀行口座にお金が残っている可能性はあります。
貯蓄がほとんどなくても年金だけで生活できる?
貯蓄がほとんどなくても、年金収入で生活費をまかなえれば、必ずしも生活に困るとは限りません。
例えば、夫婦の年金収入が月20万円、生活費が月18万円なら、毎月2万円の余裕が生まれます。一方、生活費が月23万円なら、毎月3万円、年間36万円の赤字になります。
ただし、年金額は現役時代の働き方や加入期間などによって異なります。また、持ち家か賃貸住宅かによっても、生活費の負担は変わるでしょう。
さらに、老後は医療費や住宅の修繕費など、まとまった支出が発生する可能性もあります。毎月の収支が黒字でも、急な出費に備えることが大切です。
まずは日本年金機構の「ねんきんネット」などで年金の見込額を確認し、毎月の生活費と比較しましょう。収支を把握することで、今後どの程度の資金が必要なのか判断しやすくなります。
老後の生活費が不足する場合にできる対策
年金だけで生活費をまかなえない場合は、まず支出を見直しましょう。
例えば、通信費と保険料をそれぞれ月5000円ずつ削減できれば、年間12万円の節約になります。食費などを無理に減らす前に、毎月決まって発生する固定費を見直すとよいでしょう。
また、健康状態に問題がなければ、再雇用やパート勤務などで収入を得る方法もあります。仮に月5万円の収入を得られれば、年間60万円になります。ただし、給与と年金の額によっては、老齢厚生年金の一部が支給停止になる場合があるため、事前に確認が必要です。
それでも生活費の確保が難しい場合は、公的支援制度の活用も検討しましょう。
例えば、厚生労働省が公表している「生活困窮者自立支援制度」では、生活に困っている人を対象に、家計の立て直しや仕事探しなどの相談支援を行っています。
家族としては、すぐに金銭的な援助を始めるのではなく、まず父親と一緒に家計の状況を確認することが大切です。必要に応じて自治体の相談窓口を利用するのもよいでしょう。
まとめ:貯蓄がなくても収支を確認して老後の生活に備えよう
J-FLECの2025年調査によると、60歳代の二人以上世帯で金融資産を保有していない割合は12.8%でした。貯蓄がほとんどないまま定年を迎えるケースは、決して珍しすぎるものではありません。
ただし、老後の生活が成り立つかどうかは、貯蓄額だけで決まるわけではありません。大切なのは、年金収入と生活費のバランスです。
父親の貯蓄がほぼゼロと分かっても、まずは収支を確認しましょう。支出の見直しや就労、公的支援制度の活用などを検討することで、老後の生活を安定させる方法が見えてくるでしょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年 二人以上世帯 各種分類別データ(令和7年) 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
厚生労働省 生活困窮者自立支援制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー