車のタイヤ交換に「4本で8万円」! 前回の交換から「3年」経っていますが、私は「まだ溝があるし、あと1年使える」と思っています。一方、夫は「事故が起きてからでは遅い」と反対…。溝が残っていても、早めに交換したほうがよいのでしょうか?
タイヤの溝は「1.6ミリ」以上あれば問題ない? 交換目安とされる「4ミリ」との違いとは
タイヤの寿命を考えるうえで、最初に着目したいのが溝の深さです。国土交通省が公表している「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第89条によると、乗用車のタイヤの溝が1.6ミリ以上残っていることが定められています。溝の深さが1.6ミリ未満になると車検に通りません。また、道路交通法違反となってしまいます。
タイヤの側面にある三角マークの延長線上にはスリップサインと呼ばれる突起があり、溝が1.6ミリまで減ると表面に露出して交換時期を知らせてくれます。
しかし、法律上の基準ギリギリまで使うのは非常に危険です。新品のタイヤは溝の深さがおおむね8ミリほどありますが、摩耗が進んで4ミリ未満になると、ブレーキをかけたときの制動距離が伸び始めたり、曲がるときに車体が不安定になったりします。
走行距離の目安として、一般的にタイヤは5000キロ走るごとに1ミリ摩耗するとされています。つまり、新品から2万キロほど走ると溝は4ミリ程度まで減る計算です。法律上の限界は1.6ミリですが、安全な運転性能を保つ観点からは溝の深さが4ミリ未満になったときが最初の交換目安となります。
年数経過によるゴムの硬化やバーストの危険性とは?
走行距離が少なく溝がまだ残っている場合でも、使用年数による劣化には注意しなければなりません。タイヤはゴムでできているため、走行していなくても時間の経過とともに徐々に劣化して硬化していくのです。
使用開始から3年ほど経過すると、タイヤのゴムにひび割れなどの症状が現れ始め、硬化が進みます。ゴムが硬くなると、走行中のノイズが大きくなったり、ハンドルが取られやすくなったりするほか、ブレーキの効きが悪くなることもあります。
さらに、使用開始から5年を超えると、タイヤの性能が低下したり、ひび割れが増えたりする可能性も高まります。
溝が残っていたとしても、劣化が進んだタイヤで走り続けることには大きなリスクが存在します。濡れた路面でタイヤと道路の間に水の層ができてハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象が起きやすくなるほか、最悪の場合は走行中にタイヤが突然破裂するバーストを引き起こすおそれがあります。
8万円のタイヤ交換費用と事故による損失額の比較
タイヤ4本の交換で8万円という金額は、決して安い買い物ではありません。しかし、交換を先延ばしにした結果、事故につながった場合に生じる経済的・精神的な負担も考慮することが重要です。
仮に溝が浅くなったタイヤや劣化して硬化したタイヤで走行し、ブレーキが間に合わずに前方車両へ追突したり、雨の日にスリップしてガードレールに接触したりした場合、車の修理費用だけで数十万円から100万円以上の出費になるケースがあります。
また、相手への賠償金やけがの治療費が発生する可能性もあり、保険を使用したとしても翌年以降の等級が下がって保険料が高くなるなど、8万円を大幅に上回る費用負担が発生するかもしれません。さらに、タイヤのバーストによって重大な事故が発生した場合には、運転者や同乗者などの命に関わる事態につながるおそれもあります。
タイヤは車の中で唯一、直接路面に接している極めて重要なパーツです。8万円の交換費用は、単なる消耗品の購入費用ではなく、自分自身や家族、周囲の人々の安全を守るために必要な費用として捉えることができます。
タイヤの交換時期は総合判断すべき
タイヤの交換時期は溝の深さと使用年数のどちらか一方だけで判断するのではなく、両方の観点から総合的に判断するのが正解です。溝の深さが4ミリ未満に減っている場合や、使用開始から3~5年が経過してゴムの劣化やひび割れが見られる場合には、タイヤの状態を確認し、交換を検討することが大切です。
安全と家計のバランスを守るためにも、日常的な点検をしっかりと行いながら、適切なタイミングでの交換をおすすめします。
出典
国土交通省 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条(走行装置)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー