親から家を無料で借りても、原則として贈与税はかからない


親が所有する家を子どもに無料で貸しても、通常は贈与税がかかりません。

 

例えば、80代の父親が所有する空き家を、子どもが家賃を払わずに借りて住む場合です。このような一般的な親子間の貸し借りであれば、基本的に贈与税を心配する必要はありません。

 

国税庁によると、贈与税は個人から財産をもらったときにかかる税金です。また、金銭や不動産などを直接受け取らなくても、無償で経済的な利益を受けた場合は、贈与税の対象になることがあります。

 

ただし、親子間で家を無料で貸し借りする場合は、一般的に贈与税が課されない取り扱いとなっています。

 

つまり、親子だからといって、必ず家賃を支払わなければならないわけではありません。父親の好意で空き家を借りるだけなら、通常は贈与税を心配する必要はないでしょう。

 


家賃が無料でも贈与税がかからないのはなぜ?


家賃を支払わずに家を借りることを、法律上「使用貸借」といいます。使用貸借とは、家や土地などを無料で借りて使用することです。親が所有する家に子どもが無償で住む場合も、これに該当します。

 

通常、家を借りる際は家賃を支払います。そのため、無料で借りると家賃分の利益を受けていると考えることもできます。例えば、周辺の家賃相場が月8万円の家を1年間無料で借りた場合、年間96万円の家賃を節約できます。

 

しかし、節約できた96万円が、そのまま贈与税の課税対象になるわけではありません。

 

相続税法基本通達9-10では、親子などの親族間で土地や建物を無償で貸した場合、受ける利益が少額であるときや、課税上問題がないと認められるときには、贈与税を課さなくてもよいとされています。

 

そのため、一般的な親子間の使用貸借では、贈与税がかからないケースが多いのです。

 

ただし、実質的に財産を贈与している場合などは、課税関係が変わる可能性があります。通常の居住目的とは異なる貸し借りを考えている場合は、税務署や税理士に確認すると安心です。

 


親の家を無料で借りる際は、将来の相続や費用負担に注意


親から家を無料で借りる場合、贈与税だけでなく、将来の相続税にも注意が必要です。

 

父親が亡くなった場合、父親名義の家や土地は、原則として相続財産に含まれます。子どもが無料で住んでいたとしても、その家をすでにもらったことにはなりません。

 

また、無料で貸していた家や土地は、通常の賃貸物件とは異なる方法で相続税の評価額が計算されます。

 

一般的な賃貸物件では、借りている人の権利が考慮され、相続税の計算上、評価額が下がることがあります。しかし、使用貸借では、原則として賃貸物件としての評価額の減額は受けられません。

 

さらに、一定の条件を満たす土地の相続税評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」も、必ず利用できるわけではありません。父親が80代であれば、将来の相続についても早めに話し合っておくとよいでしょう。

 

また、家賃が無料でも、固定資産税や修繕費などの負担がなくなるわけではありません。固定資産税は原則として所有者である父親が納めますが、日常的な修繕費などを誰が負担するかは、親子間で確認しておく必要があります。

 


親子間で家を無料で貸し借りする場合は、事前にルールを決めておこう


親から家を無料で借りても、通常は贈与税がかかりません。そのため、贈与税を避ける目的だけで、無理に家賃を支払う必要はないでしょう。

 

ただし、親子間でも、家を貸し借りする際には一定のルールを決めておくことが大切です。特に、家を借りる期間や修繕費の負担、将来父親が亡くなった場合の対応などは、事前に話し合っておくと安心です。

 

また、口約束だけでは認識の違いが生じる可能性があるため、使用貸借契約書を作成することもひとつの方法です。

 

親の好意で家を無料で借りられることは、生活費を抑える大きな助けになります。贈与税の仕組みを正しく理解したうえで、家族で十分に話し合い、安心して暮らせる環境を整えましょう。

 


出典


国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合

国税庁 法令解釈通達 第9条≪その他の利益の享受≫関係(無利子の金銭貸与等)9-10

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 80代の父が所有している空き家について「お前が住むなら家賃はいらないよ」と言ってくれました。しかし、母は「タダで貸したら贈与になるのでは?」と不安そう…。親子でも家賃を取らないと贈与税がかかるのでしょうか? 」