年間1万円の差を「応援費」と考えられるか


ネットで買えば年間1万円ほど安くなるという前提なら、月平均では約833円の差です。毎月5000円分の本を買う場合、年間購入額は6万円ですから、「年間1万円余計に払っている」と考えることもできます。

 

一方で、その本屋に歩いて行ける、棚を見ながら偶然知らない本に出会える、店員に相談できるといった体験を日常的に利用しているなら、価格差はサービスへの対価とも考えられます。カフェや映画館にお金を払うのと同じように、「その場所があること」自体に価値を感じるなら、必ずしも無駄とはいえません。

 


街の書店を残すことには個人の好み以上の意味もある


経済産業省は、街の書店を多様なコンテンツに気軽に触れられる「文化創造基盤」と位置づけ、書店振興の取り組みを進めています。中小企業庁の資料では、国内の書店数はこの10年で約30%減少し、書店が1店もない自治体もあるとされています。

 

もちろん、1人が毎月5000円買っただけで店の経営が安定するとは限りません。それでも、店の売上は利用者の購入によって成り立ちます。「残ってほしい」と思いながら利用はネットだけ、という状態より、必要な本をその店で買う行動には直接的な意味があります。

 


応援のために家計を苦しくする必要はない


一方、地域を応援したいからといって、必要以上に本を買う必要はありません。読み切れない本を毎月5000円分買い続けたり、貯蓄を取り崩したりするようなら、本来の目的から外れてしまいます。

 

おすすめなのは、「もともと買う予定だった本の購入先をその店に変える」という考え方です。年間の書籍予算を6万円と決め、その範囲で使えば家計への影響も把握しやすくなります。ネット限定品や急ぎの本はネット、じっくり選びたい本は近所の書店、と使い分けてもよいでしょう。

 


「安く買う」以外のリターンも考える


家計では、すべての支出に金銭的なリターンを求める必要はありません。趣味、旅行、外食などは、お金そのものが増える支出ではありませんが、楽しさや満足を得るために使います。

 

近所の本屋で買い物をすることも、そこへ行く楽しみ、店員との会話、街を歩く時間、店が残っている安心感などを含めて評価できます。年間1万円の差額を払ってでもその体験を残したいと思えるなら、本人にとっては十分に意味のある支出です。

 


まとめ


ネットより年間1万円高くなるとしても、その差だけで「無駄」と決める必要はありません。毎月5000円という予算の範囲で、もともと買う本を近所の本屋で購入するなら、家計管理と店の応援を両立できます。

 

大切なのは、店を救う責任を自分一人で背負わないことです。「年間1万円なら、この場所を残すために払ってもよい」と自分が納得できる範囲を決めましょう。価格差以上の価値を感じる場所にお金を使うことは、単なる浪費ではなく、自分が残したい暮らしを選ぶ行動ともいえます。

 


出典


経済産業省 書店活性化プランを公表します

中小企業庁 文化創造基盤としての書店振興プロジェクトチームの設置

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 近所の商店街で、昔から通っていた本屋が閉店の危機だそうです。私は毎月5000円分、本はそこで買おうと思っています。ネットなら年間1万円ほど安く買えますが、“残ってほしい店”のためにお金を使うのは無駄でしょうか? 」