父から毎年「100万円」の贈与を受けていました。父が亡くなり相続の手続きをしていたら、生前贈与が相続税の計算に加算されると判明! 自分のお金になったはずなのに、なぜ相続税の対象になるのでしょうか?
毎年110万円までの贈与なら贈与税はかからない
国税庁によると、暦年課税による贈与の場合、1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除額の110万円以下であれば、原則として贈与税はかからず、申告も必要ありません。
そのため、毎年あらためて贈与契約を結び、その都度100万円を受け取っていれば、各年の贈与額は110万円以下となり、贈与税はかかりません。
一方で最初から「10年の間、毎年100万円ずつ贈与する」と約束していた場合、約束をした年に10年分の給付を受ける権利(定期金に関する権利)の贈与を受けたものとして、贈与税がかかります。
生前贈与は相続税の計算に加算される
贈与税がかからなかったのに、なぜ相続税の計算に加算されるのでしょうか。それは、贈与税と相続税が別の制度であり、相続税の計算では、亡くなった人から一定期間内に受けた贈与を相続財産に足し戻すルールがあるためです。
国税庁によると、相続や遺贈などで財産を取得した人が、亡くなった人から加算対象期間内に暦年課税による贈与を受けていた場合、その贈与財産の価額は相続税の課税価格に加算されます。基礎控除の範囲内で贈与税がかからなかった贈与も対象です。
ただし、加算されても、必ず相続税がかかるわけではありません。相続税がかかるのは、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合です。正味の遺産額は、遺産総額から非課税財産や債務、葬式費用などを差し引き、加算対象となる生前贈与を加えて求めます。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で、例えば法定相続人が3人なら4800万円です。正味の遺産額がこれ以下であれば、相続税はかかりません。
生前贈与の加算期間は「7年以内」に拡大
国税庁によると、令和5年度の税制改正により、生前贈与の相続税への加算対象期間は、従来の相続開始前3年以内から、段階的に7年以内へ延長されました。この改正は令和6年1月1日以後の贈与から適用され、相続開始日ごとの加算対象期間は、以下のとおりです。
・令和8年(2026年)12月31日まで:相続開始前3年以内
・令和9年(2027年)1月1日~令和12年(2030年)12月31日:令和6年(2024年)1月1日から相続開始日まで
・令和13年(2031年)1月1日以後:相続開始前7年以内
令和9年(2027年)1月2日以後に相続が開始した場合、延長された期間(相続開始前3年以内より前)に受けた贈与は、その合計額から総額100万円を控除した残額が相続税の課税価格に加算されます。
掲題の相談者のように、令和8年(2026年)12月31日までに相続が開始した場合、加算されるのは相続開始前3年以内の贈与で、毎年100万円なら最大300万円です。
仮に相続開始が令和13年以後であれば、3年以内の300万円と、それより前の4年分400万円から100万円を差し引いた300万円の、計600万円が加算されます。このように、相続開始日によって加算される額は変わります。
まとめ
贈与税がかからなかった贈与でも、加算対象期間内のものは相続税の計算に加算されます。相談者のように令和8年(2026年)12月31日までに相続が開始した場合、加算されるのは相続開始前3年以内の贈与です。
加算期間は令和9年以降、段階的に7年へ延びていくため、これから生前贈与を考える人は、加算の対象となる期間も踏まえて計画を立てることが大切です。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー