5000万円を年5%で運用すれば年間250万円増える?


5000万円を年5%で運用した場合の年間の利益は次のとおりです。

 

・5000万円×5%=250万円

 

友人がいうように、年間250万円の利益が得られます。一方、生活費が月20万円なら、年間の支出は240万円です。

 

つまり、毎年250万円の利益を得て、そのうち240万円を生活費として使えるのであれば、単純計算では元本5000万円を減らさずに生活できます。さらに、基本的に65歳以降は公的年金を受け取れるため、資産から取り崩す金額を減らせるかもしれません。

 

ただし、この計算には大きな前提があります。毎年安定して5%の利益が得られ、税金や運用コストなども考慮しないという条件です。

 


年5%の利益が毎年得られるとは限らない


株式や投資信託で年5%の運用を目指すことはできますが、毎年必ず5%増えるわけではありません。例えば、10%上昇する年があっても、翌年には15%下落するかもしれません。

 

また、年間250万円の運用益が出たとしても、それが全て現金で受け取れるとは限りません。株式や投資信託の値上がり益は、原則として売却して初めて生活費に充てられます。

 

さらに、課税口座で得た株式の譲渡益や配当金には、原則20.315%の税金がかかります。仮に250万円全額が課税対象の利益なら、税引き後は約199万円となり、年間生活費240万円に届きません。

 


リタイア直後に「30%下落」したらどうなる?


特に注意したいのが、リタイア直後の株価下落です。例えば、5000万円を運用しているときに資産価値が30%下落した場合、残高は3500万円になります。

 

そこから年間240万円の生活費を取り崩すと、残高は3260万円です。翌年に5%上昇したとしても、増える金額は約163万円にとどまり、生活費240万円を賄えません。

 

また、3500万円から元の5000万円へ戻すには、約42.9%の上昇が必要です。このように、リタイア直後に大きな損失が発生し、生活費のために資産を取り崩すと、その後の相場が回復しても資産を元に戻しにくくなる可能性があります。

 


「月20万円の生活費」に見落としはない?


もう1つ確認したいのが、生活費の内訳です。例えば、現在月20万円で暮らせていたとしても、会社を退職すると、これまで給与から天引き(会社が半額負担)されていた健康保険料などを自分で負担する必要があります。

 

50歳なら、原則として60歳になるまで国民年金保険料の負担も考えなければなりません。また、住宅の修繕費や家電の買い替え、医療費など、毎月の生活費20万円以外の支出が発生する可能性があります。

 

仮に年間支出が240万円から300万円に増えれば、年5%の運用益250万円だけでは50万円不足します。さらに、物価上昇を加味すると、「20万円」という前提が変わってくる可能性もあるでしょう。

 


5000万円で50歳からFIREするのは無謀?


それでは、5000万円で50歳からリタイアするのは無謀なのでしょうか。一概にそうとはいえません。

 

例えば、住宅ローンを完済している人と、毎月10万円の返済が続く人では、必要な生活費が大きく異なります。子どもが独立しているか、配偶者に収入があるかによっても、資産の減り方は変わるでしょう。

 

また、65歳以降に受け取る公的年金の金額も重要です。50歳で退職すれば、その後も働き続けた場合と比べて、将来の厚生年金額が少なくなる可能性があります。

 

リタイアを検討するなら、年金見込額を確認し、運用が不調な場合も含めて長期的な収支を試算することが大切です。

 


まとめ


5000万円を年5%で運用すれば、年間250万円の利益が得られる計算です。生活費が月20万円なら、数字の上では元本を維持できそうに見えます。

 

しかし、運用益は保証されず、株価下落や税金、社会保険料、物価上昇などによって資産が減ったり支出が増えたりする可能性があります。5000万円は大きな資産ですが、それだけで一生安泰とは限りません。

 

リタイア後の支出や年金額、家族構成などを踏まえ、相場が悪いときにも生活を続けられる計画を立てることが大切です。

 

執筆者 : 三浦大幸

2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 相続で「5000万円」手にした友人が「年5%で運用すれば年250万円増えるから、生活費20万円でリタイアできる」と言います。50歳で退職するそうですが、一生「5000万円を維持」は可能ですか? リスクも確認 」