「認知症の義父を5年介護、仕事も辞めたのに…」法要後に義弟から「お義姉さんは他人ですから」と吐き捨てられ衝撃! 年収240万円だったので「遺産4000万円」から“1200万円”はもらえますよね!? 請求の条件とは
義父の遺産は相続できない? 介護した人が請求できる「特別寄与料」
息子の妻は相続人ではない
本記事では、夫は存命で義母はすでに亡くなっており、相続人は夫と義弟の2人というケースを想定します。
相続人になれるのは、亡くなった人の配偶者や子などに限られます。息子の妻は相続人ではないため、義弟の「他人ですから」という言葉は、相続の場面に限れば間違いとはいえません。
特別寄与料を請求できる条件
2019年7月以降に始まった相続では、相続人ではない親族も、亡くなった人を無償で介護した場合などに「特別寄与料」を請求できます。息子の妻は義父の親族(1親等の姻族)にあたるため、対象になります。
ただし、介護で義父の財産が減らずに済み、報いるのがふさわしいほど大きな貢献だったことが必要です。遺産分割の話し合いには加われず、相続人にお金を請求する形になります。
“1200万円”はもらえる? 特別寄与料の金額の決まり方
失った収入ではなく、払わずに済んだ介護費用で決まる
仕事を続けていたら得られたはずの年収240万円×5年の1200万円を、そのまま請求できるわけではありません。家族が介護したことで、ヘルパーなどに払うはずだった費用が義父の財産から出ずに済んだ分が評価されます。
実務では「日当×介護日数×裁量割合」で見積もることが多いとされ、話し合いで決まらなければ家庭裁判所が介護の内容や遺産の額などを考えて決めます。
日当8000円・5年間で試算すると
日当は、同じ介護を外部の人に頼んだ場合の費用を目安にすることが多いとされます。ここでは、日当8000円、裁量割合0.5で計算します。
8000円×365日×5年×0.5で、730万円です。この想定では夫と義弟が半分ずつ負担するため、義弟が支払うのは365万円になります。
毎日介護した前提なので、デイサービスなどを使った日があれば、その分は減ります。
介護の記録があっても安心できない? 請求するときの注意点
記録は介護の中身を示す材料になりますが、それだけで認められるわけではありません。介護保険のサービスを多く使っていた場合は認められにくいとされ、介護の対価といえるお金を受け取っていれば無償とはいえなくなります。
残しておきたいのは、介護日誌や要介護認定の通知、ケアプラン、介護用品や交通費の領収書などです。
家庭裁判所に申し立てられる期限は、相続の開始と相続人を知ってから6ヶ月か、相続開始から1年の、どちらか早いほうです。介護していた人は、亡くなったことをすぐ知るのが一般的なので、多くの場合は亡くなってから6ヶ月が期限になります。
法要を終えるころには、残りが数ヶ月しかないこともあるため、話し合いがまとまらなければ早めに調停を申し立てましょう。
また、特別寄与料は相続税の対象で、相続税がかかる場合は税額が2割加算されます。本記事の想定では、ほかに財産がなければ、遺産4000万円が基礎控除の4200万円(3000万円+600万円×相続人2人)を下回るため、相続税はかかりません。
義父母の介護で相続トラブルを避けるには
夫が相続人なら、妻の介護を夫の「寄与分」として、遺産分割の話し合いで主張する方法もあります。
義父に遺言を書いてもらい、介護した人へ財産を遺贈してもらうのも1つの手です。認知症が進むと遺言を書けなくなるおそれがあるため、早めに相談しておくと安心です。
介護の分担や費用を家族で話し合い、記録を共有しておけば、相続のときに貢献を説明しやすくなります。
まとめ
義弟に「他人」と言われても、すぐにあきらめる必要はありません。
息子の妻は相続人ではないため、義父の遺産を相続することはできません。ただし、無償で介護を続けた場合は、相続人に特別寄与料を請求できる可能性があります。
金額は、離職で失った収入ではなく、払わずに済んだ介護費用をもとに決まります。申し立ての期限は、多くの場合、亡くなってから6ヶ月しかないため、介護の記録を残し、早めに家族や専門家に相談しましょう。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP