同僚と同じ時期にNISAを始めたのに、3年後の資産額は私が「150万円」、同僚は「600万円」になっていました。結局、NISAは多く投資できる人ほど有利な制度なのでしょうか?
NISAは「投資した金額」ではなく「運用益に税金がかからない」制度
通常、株式や投資信託の売却益・配当などには税金がかかります。NISA口座では、制度の範囲内で得た利益が非課税になります。つまり、NISAから600万円がもらえるわけではなく、自分のお金を投資し、その運用益に対する税負担を軽くする制度です。
したがって、元本を多く投資した人ほど、同じ運用利回りなら利益額も大きくなりやすく、結果として非課税メリットの絶対額も大きくなる傾向があります。
2024年からのNISAは年間最大360万円、総枠1800万円
金融庁によると、2024年からのNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると年間最大360万円まで投資できます。非課税保有限度額は合計1800万円で、そのうち成長投資枠は1200万円が上限です。
この枠を多く使える人ほど、非課税で運用できる元本を大きくできるため、「投資余力が大きい人ほど恩恵の総額が大きくなりやすい」という面は否定できません。
150万円と600万円の差が、すべて運用成績の差とは限らない
3年後の残高差を見るときは、まず「いくら入金したか」を比べる必要があります。同僚が3年間で550万円を投資し、自分が140万円しか投資していないなら、残高差の大半は投資元本の差かもしれません。
一方、投資元本が同じなのに大きく差が開いたなら、投資商品、買った時期、リスクの取り方などが影響しています。残高だけで運用の上手下手を判断することはできません。
生活費を削ってまで枠を埋める必要はない
NISAの非課税枠は魅力的ですが、利用するために生活防衛資金まで投資へ回す必要はありません。投資には元本割れの可能性があります。毎月の生活費、近い将来に必要な教育費や住宅費、緊急資金などを確保した上で、無理のない金額を長く積み立てることが基本です。
「同僚が600万円だから自分も追いつかなければ」と考えるのではなく、自分の家計に合った投資額かを確認しましょう。
NISAの公平性は「同じ非課税ルールを使える」点にある
制度としては、利用者ごとに同じ年間投資枠と非課税保有限度額が設定されています。ただし、実際にどこまで枠を使えるかは各家庭の所得や支出によって異なります。そのため、結果として投資余力のある人の方が大きな金額を非課税運用できるという格差は生じ得ます。
一方、少額投資でも、通常口座なら課税される利益を非課税にできる点は変わりません。大切なのは「枠を全部使うこと」ではなく、自分の資産形成に制度をどう使うかです。
投資額が多いほど「損失額」も大きくなる
元本が大きい人は、利益が出たときの金額が大きくなりやすい一方、相場が下落したときの含み損も大きくなります。たとえば同じ20%下落でも、150万円なら30万円、600万円なら120万円の下落です。
資産額が大きいことをそのまま「有利」と捉えるのではなく、どの程度の値下がりに耐えられる家計かも考える必要があります。
比較するなら「入金額」と「運用利回り」を分ける
同僚との違いを知りたいなら、現在残高だけでなく、3年間の累計入金額を確認します。累計入金額150万円で残高150万円なら損益はほぼゼロ、累計入金額500万円で残高600万円なら利益は100万円です。
「残高の差」と「運用成績の差」を分けて見ると、必要以上に焦らず、自分のペースで投資を続けやすくなります。
まとめ
NISAは、投資額が多い人ほど非課税メリットの絶対額が大きくなりやすい制度です。その意味では、投資余力が大きい人が恩恵を多く受けやすい面があります。
ただし、3年後の150万円と600万円という残高差は、運用成績だけでなく元本差にも左右されます。生活費を削って同僚に追いつくのではなく、自分の家計に合う金額を無理なく積み立てることが重要です。
出典
金融庁 NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー