米国高配当ETFで年間40万円は可能?


米国高配当ETFは、配当利回りの高い米国企業へまとめて投資できる商品です。代表例にはVYM、HDV、SPYDがあります。各運用会社が公表する30日SEC利回りは、2026年の7~9月時点でおおむね以下の水準です。






・VYM:2.35%(9月30日時点)

・HDV:3.51%(9月30時点)

・SPYD:4.63%(10月13日時点)




例えば、1000万円を年4%で運用できれば、税引前の分配金は年間40万円です。ただし、利回りは一定ではなく、株価や為替も変動します。

 

また、課税口座で米国ETFの分配金を受け取る場合、一般的には米国で10%課税された後、日本でも20.315%が課税されます。単純計算では、

 

40万円×90%×79.685%=約28万7000円

 

となります。確定申告で外国税額控除を受けられる場合もありますが、所得税額などに応じた限度があり、米国で課税された分が必ず全額戻るわけではありません。

 


米国ETFを相続すると何が大変?


注意したいのは、単なる「ドル建て資産」ではなく、VYMなどの「米国籍ETF」を直接保有する場合です。

 

死亡を証券会社へ連絡すると取引が制限され、その後、戸籍関係書類などを提出して相続手続きを進めます。証券会社によっては、相続人側にも同じ証券会社の口座や外国株式取引口座が必要です。

 

また、日本の相続税では、上場株式について、原則として死亡日の最終価格と、死亡月・前月・前々月の月平均額を比較して最も低い金額で評価できます。

 

一方、外貨建ての金額は、原則として死亡日のTTBなどで円換算します。そのため、相続手続き中も株価と為替が動き、相続税評価額と実際に売却した際の円換算額が異なることがあります。

 


米国の「遺産税」にも注意が必要?


米国籍ETFを直接保有する場合に見落としやすいのが、米国遺産税です。米国IRSは、米国非居住・非市民の人でも、米国法人の株式などを「米国内所在財産」として扱っています。

 

死亡時の米国内所在財産が原則6万ドルを超える場合、遺産の代表者が「Form 706-NA」を提出する必要が生じる可能性があります。

 

ただし、日本と米国には租税条約があり、申告義務が生じても実際に米国遺産税を納めるとは限りません。保有額やほかの資産などによって扱いが変わるため、多額の米国ETFを保有している場合は、税理士などへの確認が必要です。

 

1000万円分の米国ETFなら為替次第で6万ドルを超えるため、相続時の確認事項として無視できないでしょう。

 


相続を考えるなら円建て投信も選択肢


米国高配当株へ投資するからといって、米国ETFを直接購入する必要はありません。

 

例えば、「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」は、実質的にVYMへ投資しながら、日本の投資信託として円で購入できます。

 

ただし、円建てだから為替リスクがなくなるわけではありません。中身が米国株であれば、円高・円安の影響を受けます。メリットは、国内投資信託として保有できるため、米国籍ETFを直接相続する場合に比べ、相続手続きを簡素化できる可能性がある点です。

 


まとめ


1000万円を年4%で運用すれば年間40万円という計算になりますが、これは税引前の金額で、分配金も保証されません。課税口座では米国と日本で課税されるため、単純計算の手取りは約28万7000円です。

 

また、VYMなど米国籍ETFを直接保有すると、日本の相続手続きに加えて、米国遺産税のForm 706-NAの提出要否まで確認する必要が生じる場合があります。

 

高配当だけで商品を選ばず、税金・為替・相続まで考え、必要なら国内投資信託も比較しておきましょう。

 

執筆者 : 高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 “退職金1000万円”を「米国高配当ETF」に投資すれば、年4%で「年間40万円の不労所得!」と期待する父…でもドル建て資産の相続は“米国の遺産税”がかかる場合も!?「円建て投信」のほうが安心ですか? 注意点を確認 」