第3号縮小に「お義父さんの介護で正社員辞めたんだけど!?」パートで“月収6万円”の妻が嘆き…世間では「第3号被保険者=優雅な主婦」のイメージも、実際は「介護離職×社会保険料負担」で大打撃に? 影響を確認
第3号被保険者とは?
国民年金の加入者は、第1号から第3号までの3種類に分かれています。第3号被保険者とは、厚生年金に加入する会社員や公務員などに扶養されている、原則20歳以上60歳未満の配偶者です。
第3号被保険者は、年収130万円未満などの要件を満たせば、自分で国民年金保険料を納める必要はなく、会社員の健康保険で被扶養者になっている場合も、原則として本人の健康保険料負担はありません。
こうした仕組みから、「保険料を払わず年金を受け取れるのは不公平」という意見があるのです。しかし、中には育児や介護、病気などによって十分に働けない人もいるため、そのような人たちを家族、会社、そして社会で支えるという第3号被保険者の制度に理解を示している人ももちろんいます。
月収6万円なら、社会保険料はいくら増える?
今後第3号被保険者ではなくなり、第1号被保険者として国民年金保険料を全額支払うことになったら、負担はどうなるのでしょうか。
2026年度の国民年金保険料は、月額1万7920円です。また、国民健康保険料は市町村で額が異なりますが、平均した月額は8426円なので、これらを単純計算すると社会保険料は2万6346円となり、パートの月収が6万円なら手取りは3万3654円となってしまいます。
第3号被保険者制度の縮小と、健康保険の扶養制度は同じ制度ではないので、「第3号が縮小されたら国民年金と国民健康保険を必ず両方払う」と現時点で決まっているわけではありません。しかし、これらの社会保険料を支払うことになれば、家計の負担はますます重くなるでしょう。
「106万円の壁」撤廃でも月収6万円ならすぐ社会保険加入とは限らない
2026年10月からは、短時間労働者が厚生年金・健康保険に加入する際の「月額8万8000円以上」という賃金要件が撤廃されました。
ただし、「週の所定労働時間が20時間以上」という要件は残っているため、現段階では、月収6万円で週20時間未満の働き方であれば、賃金要件の撤廃だけを理由に厚生年金・健康保険へ加入することにはなりません。
今後、企業規模要件も段階的に縮小・撤廃される予定で、第3号被保険者を減らし、勤務先の社会保険に加入する人を増やす方向で制度改正が進められています。
勤務先の社会保険に加入すれば、保険料負担は生じますが、保険料は原則として会社と本人が分担するので、個人の負担は実はそこまで大きくないと考えることもできます。
また、社会保険に加入することで将来受け取る厚生年金が増えるほか、傷病手当金などの保障を受けられるメリットもあるのです。
収入が少なければ国民年金保険料は免除される?
国民年金には、保険料が免除される制度があります。ただし、全額免除などの審査では、本人に加えて配偶者や世帯主の前年所得も確認されます。そのため、妻のパート収入が月6万円でも、会社員の夫に一定以上の所得があれば、免除を受けられない可能性があります。
また、失業した場合には、本人の前年所得を除外して審査する特例もあります。介護離職などで退職した人は、自分が利用できる制度を年金事務所などで確認しておくとよいでしょう。
第3号縮小は「ずるいかどうか」だけでは判断できない
厚生労働省では、2026年9月に「国民年金第3号被保険者制度等に関する検討会」をスタートしました。現時点で制度の廃止や具体的な負担額が決まったわけではなく、実態把握などを進めている段階ですが、今後、第3号被保険者制度が見直されていくことは十分考えられるでしょう。
第3号被保険者制度には、働き方によって保険料負担に差が生まれるという課題があります。共働き世帯が増えた現在、制度を見直す必要があるという考え方もあるでしょう。
しかし、育児や介護などの事情で働く時間を増やせない人もいます。こうした人に一律で新たな負担を求めれば、収入に対して保険料負担が大きくなるケースもあるのです。
「第3号だから得をしている」「保険料を払うべき」と単純に考えるのではなく、なぜその働き方を選んでいるのかも含めて考える必要がありそうです。今後どのような人を対象とし、負担に応じた配慮が設けられるのか、制度設計を確認していくことが大切といえるでしょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者 : 渡辺あい
FP2級、防災士