予期せぬ大病で働けなくなったので、生活保護を申請したい…。持ち家に住んでいると申請を却下されるって聞いたけど本当?
「生活保護制度」のおさらい
生活保護制度は、経済的に困窮する人に最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度です。「健康で文化的な最低限度の生活」は、人間としての尊厳を保ち、社会生活を送るために必要な水準を指します。
なお、過去には生活保護費の減額が違法と判断された裁判例もあります。
「生活保護制度」はどのような人が、どのくらいの支援を受けられるのか?
生活保護は世帯単位で判断され、資産や能力などを活用しても、なお生活に困窮している場合に適用されます。
預貯金や、生活に利用していない土地・家屋などは原則として活用します。一方、現在住んでいる居住用住宅は、資産価値などによって保有が認められる場合があります。住宅ローンが残っていても申請できますが、生活保護費からの返済は原則認められません。
また、働ける方は能力に応じて働くことが求められますが、病気などで難しい場合は個別に判断されます。年金や雇用保険などの公的制度、扶養義務者からの援助も活用します。ただし、DVや虐待、長期間の音信不通など、扶養が期待できない場合は扶養照会を行わないことがあります。
生活保護費は、最低生活費と世帯収入との差額が基本です。
例えば東京23区(1級地-1)の50歳・単身世帯では、令和7~8年度の生活扶助基準額は月額7万7240円です。住宅扶助が上限の5万3700円まで認められる場合、合わせて月額13万940円が目安です。ただし、実際の支給額は家賃や世帯構成、各種加算などで変わります。
このほか、医療扶助や介護扶助の対象となる場合、本人負担はありません。
生活保護開始後は、ケースワーカーによる訪問調査などを受け、収入や資産の状況を申告する必要があります。申告頻度は就労状況などによって異なります。
現在の「生活保護制度」の問題点
現在の制度には課題もあります。近年の物価上昇を受け、生活扶助基準も見直されており、令和8年10月からは1人当たり月額2500円の特例加算が行われます。また、住宅扶助の基準内で住まいを確保しにくいケースがあるなど、住居の確保も課題の一つです。
また、厚生労働省は、自治体が「不動産を処分しなければ申請できない」などと誤った説明をし、申請権を侵害することがないよう通知しています。
万が一「持ち家があるから申請できない」などと説明された場合でも、持ち家があることだけで申請できないわけではありません。申請の意思を明確に伝え、福祉事務所に相談しましょう。
さらに、扶養照会についても一定の配慮が設けられています。10年程度音信不通である、親族に借金を重ねているなど、扶養が期待できない具体的な事情がある場合は、直接の扶養照会を行わないことがあります。DVや虐待など、扶養を求めることで本人の自立を阻害すると認められる場合も同様です。
まとめ
突然の大病などで働けなくなった際、生活保護は日本国憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を守るための大切な制度です。「持ち家があると受けられない」と思われがちですが、実際に居住しており住宅ローンが残っていないなど、一定の条件を満たしていれば自宅に住み続けながら生活保護を受給できます。
万が一、役所の窓口で「持ち家があるから」と拒否されそうになった場合でも、諦めずに「居住用であり例外に該当する」ことをしっかり伝え、正当な申請権を行使することが重要です。一人で悩みを抱え込まず、正しく制度を理解して必要な支援を受けましょう。
出典
厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A(5ページ)
厚生労働省 生活保護法による保護の基準
厚生労働省 社会・援護局関係主管課長会議資料(33ページ)
厚生労働省 令和8年度生活扶助基準の見直しについて
厚生労働省 「生活保護法施行事務監査の実施について」の一部改正について
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー