父から相続した空き家に、毎年「18万円」の固定資産税が…。兄弟3人とも住む予定はありませんが、売却できるまで「1人6万円」ずつ負担しなければならないのでしょうか?
共有なら、基本的には持分に応じて負担する
そもそも固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者に課税されます。もし、その所有者である父親が亡くなり、遺産分割が終わっていない場合には、法定相続人全員で共有している状態として扱われることになります。
つまり、法定相続人が兄弟3人の場合は、3人全員が等しい割合で共有している状態であるということです。
では、固定資産税が年間で18万円なら、兄弟3人でそれぞれ6万円ずつの負担となるのでしょうか。
結論としては、兄弟間で特段の取り決めがなければ、1人6万円ずつ負担するのが基本的な考え方です。なぜなら、民法では、共有持分に応じて固定資産税などを負担する必要があると定められているからです。
ただし、実際に遺産分割を行っていて、特定の誰かが代表して負担するという取り決めがあったり、3人の持分がAは2分の1、Bは4分の1、Cも4分の1などと異なったりすれば、負担も必ずしも3等分にはならない点にご注意ください。
自治体に対しては「1人6万円だけ払えばよい」とは限らない
固定資産税において注意したいのが、税金そのものの納税義務が誰にあるのかという点です。
共有状態にある実家のような不動産の固定資産税については、共有者全員が連帯して納税義務を負います。
つまり、市町村に対しての納税義務は兄弟3人全員が18万円を負うということです。相続人1人で6万円ずつというのは、あくまでも相続人間の話です。
そのため、自分以外の2人が固定資産税の負担を拒否したとしても、自分は彼らの負担分12万円から逃れることはできないというわけなのです。
もちろん、他の相続人の分を負担した場合は、あくまでも相続人同士の話ではありますが、その人が本来負担する分を求償することができます。
空き家を放置すると税負担が増えることも
補足的な話になりますが、住む予定のない家を売れないからと空き家のまま放置するのは避けるようにしましょう。
もし、その空き家の状態が悪化して倒壊したり、屋根や塀が崩れて周囲の人や物に被害を与えたりした場合には、所有者としてその損害を賠償しなければならなくなるからです。
また、住宅の立っている土地には、一定の要件を満たすことで固定資産税評価額(税金を決める際の基準となる土地の価格のこと)が最大で6分の1になる「住宅用地の特例」という制度があります。
しかし、空き家の管理状態が悪化し、「管理不全空家」や「特定空家」等に該当してしまったり、客観的に見て住宅用地の特例の適用がふさわしくないと判断されたりすると、最大で6分の1となる特例が取り消されることもあります。
売却予定で住まないからといって放置していると、思わぬところで税負担が増大する可能性もあります。そのため、売却する場合においても、空き家の最低限の管理は続ける必要があるといえるでしょう。
まとめ
相続した空き家の固定資産税が年間18万円かかる場合、兄弟3人がそれぞれ3分の1ずつ共有しているなら、兄弟間では原則として1人6万円ずつ負担することになります。
ただし、自治体に対しては、共有者は固定資産税について連帯して納税義務を負うため、場合によっては他の共有者の負担分も自分が代表して負担せざるを得ない状況も起こりえます。
固定資産税は空き家だろうが相続した不動産で住む予定がなかろうが毎年発生していきます。
空き家の管理は思った以上に大変なものです。第三者や共有者への売却、賃貸、建て替えなどを考えるのであれば、その方針を早めに決めるとともに、税負担を含めた維持費について兄弟間で明確にしておくことが重要となるでしょう。
出典
岩手県宮古市 管理不十分な空き家などの土地に適用している住宅用地特例の見直し
執筆者 : 柘植輝
行政書士