退職した会社から突然「昨年の交通費を3万円多く支給していた」と連絡が! すでに退職しているのに、今さら返金しなければならないのでしょうか?
退職後でも交通費を多く受け取っていた場合は返金が必要?
退職後であっても、本来受け取る権利のない交通費を多く受け取っていた場合は、原則として返金する必要があります。
民法第703条では、法律上の理由なく利益を受け取り、他人に損失を与えた場合、その利益を返還する義務があると定めています。これは「不当利得の返還義務」と呼ばれるものです。
例えば、会社の規定では毎月1万円の交通費が支給されるはずだったのに、計算ミスによって毎月1万5000円が支給されていたとしましょう。この状態が6ヶ月続いた場合、本来より3万円多く受け取ったことになります。このようなケースでは、会社側のミスであっても、原則として3万円を返金する必要があります。
また、退職によって雇用関係が終了していても、過払い分の返還を求められる可能性があります。
ただし、会社の請求額が必ず正しいとは限りません。まずは当時の交通費の支給条件を確認することが大切です。
昨年の交通費でも返金しなければならない?
昨年支給された交通費であっても、返金を求められる可能性があります。
民法第166条では、債権の消滅時効について、原則として権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間と定めています。
消滅時効とは、一定の期間が経過した場合に、請求を受けた側が時効を主張することで、支払い義務をなくせる制度です。
例えば、2025年に交通費を3万円多く支給され、2026年に会社から返金を求められたとします。この場合、支給から1年程度しか経過していないため、通常は時間が経過したことだけを理由に返金を拒むことは難しいでしょう。
ただし、実際の時効の起算点や期間は、請求の根拠や個別の事情によって異なります。そのため、かなり前の交通費について返金を求められた場合は、支給された時期などを確認しましょう。
会社から3万円の返金を求められたら何を確認すればよい?
退職した会社から返金を求められた場合、すぐに振り込むのではなく、過払いが発生した理由と金額を確認しましょう。まずは会社に対して、交通費の支給対象期間、本来の支給額、実際の支給額、3万円という差額の計算方法を説明してもらうことが大切です。
例えば、通勤経路の変更が正しく反映されていなかった場合や、交通費が二重に支給されていた場合などが考えられます。
一方、退職時に定期券の有効期間が残っていたことを理由に返金を求められた場合は、会社の交通費規定なども確認する必要があります。過去の給与明細や交通費の申請書などが残っていれば、会社の説明と照らし合わせてみましょう。
また、過払いが事実であっても、突然3万円を支払うのが難しい場合もあるでしょう。
そのような場合は、会社に分割払いを相談する方法があります。ただし、会社が必ず応じるとは限らないため、返済方法について話し合うことが必要です。
退職後の交通費の返金請求には、金額や根拠を確認してから対応しよう
退職後であっても、交通費を本来より多く受け取っていた場合は、原則として返金が必要です。また、昨年の交通費だからといって、返金義務がなくなるわけではありません。
ただし、会社から請求された金額が正しいかどうかは別の問題です。返金する前に、過払いの理由や計算の根拠を確認することが重要です。
突然の返金請求に慌てず、まずは会社に詳しい説明を求めましょう。支給記録を確認し、納得できる形で対応することが、不要なトラブルを防ぐことにつながります。
出典
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第一編 総則 第七章 時効 第三節 消滅時効 (債権等の消滅時効)第百六十六条、第三編 債権 第四章 不当利得 (不当利得の返還義務)第七百三条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー