伊藤園の株主優待は2026年4月分で終了


株式会社伊藤園の発表によると、2026年4月30日を基準日とする株主優待品の贈呈をもって制度を廃止し、2027年4月30日以降を基準日とする優待は実施しないこととなりました。廃止の理由については、配当などによる利益還元の充実と中長期的な企業価値の向上に、経営資源を一層集中するためと説明しています。

 

これまでの優待は、4月末時点で100株以上を保有する株主に、緑茶やジュースなどの自社製品詰め合わせを贈るものでした。100株以上で1500円相当、1000株以上で3000円相当とされ、通信販売の割引クーポンも付いていました。

 


株価は高値の約3分の1、配当は100株で年4800円


伊藤園の株価は2020年11月30日に上場来高値の8590円をつけましたが、2026年10月8日の終値は3089円です。約6年で6割以上下がったことになります。

 

一方で、配当は増えています。2025年度(2026年4月期)の年間配当は1株48円で、100株保有なら4800円です。2021年度の40円から段階的に引き上げられてきました。2026年度(2027年4月期)は52円と予想されています。

 

株価3089円で100株を購入すると30万8900円になり、48円の配当で計算した配当利回りは約1.6%、52円の予想配当なら約1.7%です。なお、特定口座などの課税口座で受け取る場合、配当には20.315%の税金がかかるため、4800円の配当の手取りは約3825円になります。

 

これまでは、4800円の配当に1500円相当の優待が加わり、100株で年6300円相当を受け取れる計算でした。しかし、予想どおり52円に増配されたとしても、100株あたりの増加は400円にとどまり、優待の1500円相当分は埋まりません。優待分を配当だけで補うには、1株あたり年63円の配当が必要です。

 


優待廃止は「優待目的の売り」が出やすい


株主優待を目当てに株式を保有していた人は、優待がなくなると売却を考えやすくなります。こうした売りが増えると、株価が下がる要因になり得ます。同社株を持ち続けるかどうかを考える際は、優待の有無だけでなく、配当や業績の見通しも確認しておきましょう。

 

伊藤園は2027年4月期の業績予想で、親会社株主に帰属する当期純利益を114億3000万円としています。前期の34億6600万円から大きく回復する見通しです。配当を目的に保有する場合は、利回りが1%台であることをふまえ、ほかの投資先と比べて納得できる水準かを検討するとよいでしょう。

 


NISAで保有している場合の注意点


NISAで伊藤園株を保有している場合は、売却時のルールも押さえておく必要があります。2024年からのNISAでは、保有している商品を売却すると、その商品の簿価(取得金額)分の非課税枠が翌年以降に復活します。ただ、売却した年のうちに枠が戻るわけではない点に注意が必要です。

 

また、NISA口座で取得した上場株式を売却して生じた損失は、税の計算上、ないものとみなされます。購入時より株価が下がっている状態で売却しても、特定口座などの利益と損益通算はできません。

 

さらに、NISA口座で配当を非課税で受け取るには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。保有を続ける場合は、受取方法の設定も確認しておきましょう。

 


まとめ


伊藤園は、2026年4月分を最後に株主優待を廃止し、今後は配当などで株主に還元する方針を示しています。2026年度は52円への増配が予想されていますが、100株あたりの増加は400円にとどまり、これまでの優待分を補うまでには至りません。

 

配当が1株63円に届くまでは、優待があったころより受け取れる額が少ない状態が続きます。配当利回り1%台で満足できるか、今後の増配と業績回復に期待できるかが、持ち続けるかどうかの分かれ目です。また、NISAで保有している場合は、損益通算ができない点や非課税枠の戻り方もふまえて検討することが大切です。

 

執筆者 : 上野梓

FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 伊藤園が「株主優待廃止」を発表! 株価は2020年“一時7000円超”から、約6年で「3000円台」に…昨年度の配当は「100株で4800円」で“お茶の詰め合わせ”もないなら手放すべき? 配当利回りも確認 」