車の“修理代6万円”に「自腹のほうが得」と言う夫…車両保険を使うと“翌年の保険料”が「3万7000円→5万6000円」になるそうですが、保険料が“数年高いまま”なら「6万円払うべき」でしょうか?
車両保険に入っていても全額が出るとは限らない
まず確認したいのが、車両保険の「免責金額(自己負担額)」です。例えば、修理代が6万円でも免責金額が5万円なら、単純計算で保険から支払われるのは、6万円-5万円=1万円となります。
そのため、残り5万円は自分で負担することになります。「車両保険に入っている=修理代を全額払ってもらえる」とは限らない点には注意が必要です。なお、免責金額や補償範囲は契約によって異なるため、まず自分の保険証券や契約内容を確認する必要があります。
保険を使うと翌年の保険料が上がることも
さらに考えたいのが、翌年以降の自動車保険料です。自動車保険には一般的に等級制度があり、事故で保険を使うと事故内容に応じて翌年の等級が下がります。
例えば、ガードレールにぶつけ、車両保険を使って修理した場合は、一般的に3等級ダウン事故に該当します。3等級ダウン事故では、翌年から3年間「事故有」の割増引率が適用されるため、無事故だった場合より保険料が高くなる可能性があります。
日本損害保険協会でも、受け取る保険金より翌年以降の保険料の増加額のほうが大きくなる場合がある、と説明しています。
実際にどれくらい保険料は高くなる?
本記事では、事故を起こす前が20等級で無事故・割引率が63%だったものの、事故を起こした後には割引率が44%に下がる場合を想定してシミュレーションします。
割引適用前の年間保険料を10万円と仮定すると、20等級・無事故の場合は63%割引で年間3万7000円です。これが、事故で保険を使い「事故有」の割引率・44%になると、年間保険料は5万6000円です。
よって、単純な差額は、1万9000円です(5万6000円-3万7000円)。なお、等級ダウンが影響するのは翌年だけではありません。3等級ダウン事故では事故有係数適用期間が3年間となるため、数年間の保険料まで比較することが大切です。
「修理代6万円なら自腹」が得?
今回、免責金額が5万円なら、6万円の修理で受け取れる保険金は1万円です。
その1万円を受け取るために等級が3つ下がり、翌年以降の保険料が上がるのであれば、夫の言うように自腹で6万円を払ったほうが結果的に得になる可能性があります。
一方、免責金額が0円で6万円全額が補償される契約なら、比較結果は変わるでしょう。また、現在の等級や年齢、車種、補償内容などによって実際の保険料は異なります。
なお、「3万7000円→5万6000円」も、あくまで一定の条件での試算であり、全ての契約者の保険料が1万9000円上がるという意味ではありません。
保険を使う前に「使った場合・使わない場合」を確認しよう
修理代が比較的少額なら、すぐに保険を使うと決める必要はありません。まず、修理費の見積もりと車両保険の免責金額を確認しましょう。
そのうえで保険会社や代理店に、「今回保険を使った場合、今後の保険料はいくらになるのか」「使わなかった場合はいくらなのか」を確認し、数年間の差額と受け取れる保険金を比較する方法があります。
まとめ
修理代が6万円でも、免責金額が5万円なら、車両保険から受け取れる金額は単純計算で1万円です。さらに車両保険を使うことで等級がダウンすれば、翌年以降の保険料が高くなる可能性があります。
そのため、「車両保険に入っているから使わないともったいない」とは限りません。
修理代、免責金額、受け取れる保険金、保険を使った場合と使わなかった場合の今後の保険料を比較して、家計全体で負担が少ない方法を選ぶことが大切です。
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など