介護休業に入った同僚の仕事を半年間引き継いだ結果、私の担当案件だけ「2倍」になりました。残った社員に手当がないのは普通のことでしょうか?
介護休業の取得は権利だが、残った人の待遇は別に考える
育児・介護休業法では、要介護状態にある家族を介護する労働者が一定の要件を満たす場合、介護休業を取得できます。厚生労働省は、対象家族1人につき通算93日まで取得できる制度として案内しています。会社は要件を満たす申出を原則として拒めません。
一方で、「休業者の業務を引き継いだ社員には必ず月○万円の手当を払う」といった一律の法定手当があるわけではありません。手当を設けるかどうかは、就業規則、賃金規程、労働契約、会社独自の制度などによります。
担当案件が2倍でも、労働時間が同じなら直ちに賃金2倍にはならない
給与は通常、担当案件数そのものではなく、労働契約で定められた賃金体系に基づいて支払われます。そのため、案件数が2倍になったことだけを理由に、給与も自動的に2倍になるわけではありません。
ただし、案件増によって所定労働時間を超える残業が発生しているなら話は別です。法定時間外労働には割増賃金が必要です。また、過度な業務量によって長時間労働が常態化している場合は、健康面のリスクもあります。自分の残業時間を客観的に記録しておきましょう。
「手当がないのは違法」とは限らないが、会社へ見直しを求める余地はある
介護休業者の業務を代替したことだけで特別手当が必須とは限らないため、「手当がない=直ちに違法」とは言えません。しかし、半年間にわたって明らかに職務内容や責任が増えているなら、人事評価、職務手当、役割手当などの見直しを相談する余地があります。
とくに、自分だけ担当案件が2倍になり、他の社員との負担差が大きい場合は、「なぜこの配分なのか」「いつまで続くのか」「優先順位をどうするのか」を上司に確認することが重要です。
介護離職を防ぐ制度と、職場全体の持続可能性は両立させる必要がある
介護休業制度は、家族の介護を理由に労働者が離職することを防ぎ、仕事と介護の両立を支えるための制度です。その制度を機能させるには、取得者だけでなく、周囲の社員が過度に疲弊しない業務設計も必要です。
「介護だから仕方ない」と個人同士の我慢に任せるのではなく、会社が仕事の棚卸し、期限調整、外部委託、派遣活用、担当の再配分などを検討することが望まれます。
「半年間だけ」と言われた仕事が恒常化していないか確認する
当初は介護休業中の一時的な代替だったとしても、そのまま担当が固定化されるケースがあります。引継ぎ開始日、当初説明された期間、追加された案件、責任範囲を記録し、「休業者が復帰した後にどの仕事を戻すのか」まで確認しておくとよいでしょう。
もし上位職と同程度の判断や責任を継続して求められているなら、人事評価や等級との整合性を相談する材料にもなります。単純な件数だけではなく、案件の難易度や責任の重さも整理することが大切です。
まとめ
介護休業者の仕事を引き継いだからといって、法律上当然に特別手当が支払われるわけではありません。ただし、案件増で残業が発生しているなら、時間外労働に対する割増賃金は別途確認が必要です。半年にわたって担当が2倍になるような状態なら、「お互いさま」で済ませず、業務量、残業時間、責任範囲を整理して上司や人事へ見直しを求めましょう。
出典
厚生労働省 労働条件・職場環境に関するルール
厚生労働省 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー