同僚2人が同時に育休へ入り、残された3人に仕事が一気に集中しました。毎日残業しても給与は同じですが、こうした負担は「お互いさま」と考えて受け入れるしかないのでしょうか?
育休を取ることは労働者の権利で、会社は要件を満たす申出を拒めない
育児・介護休業法では、要件を満たす労働者が育児休業を申し出た場合、事業主は原則として拒むことができません。また、育休取得を理由とした解雇などの不利益な取り扱いも禁止されています。したがって、問題の中心は「同僚が休んだこと」ではなく、休業者が出たときに会社がどのような人員配置や業務調整を行ったかです。
育休取得者に「あなたが休んだから大変だ」と圧力をかけるのは適切ではありません。一方、残された社員が会社に対し、業務量の見直しや人員補充を求めることまで遠慮する必要はありません。
毎日残業しているのに給与が同じなら、残業代の扱いを確認する
法定労働時間を超える時間外労働をさせた場合、使用者は労働基準法37条に基づく割増賃金を支払う必要があります。固定残業代が導入されている職場でも、実際の時間外労働に対して計算した割増賃金が固定残業代を上回れば、差額の支払いが必要になる場合があります。
「忙しくなったから毎日1時間ずつ長く働いているのに、給与明細が全く変わらない」という場合は、まず勤怠記録と給与明細を確認しましょう。管理監督者など例外的なケースもありますが、単に仕事量が増えたことを理由に残業代が不要になるわけではありません。
会社には、業務代替者へ手当を出すための助成制度もある
厚生労働省には「育休中等業務代替支援コース」があり、育児休業取得者や短時間勤務者の仕事を代替する周囲の労働者へ手当を支給した事業主などを支援しています。2026年度は、手当支給等について企業規模要件が撤廃され、幅広い事業主が対象となっています。
これは「残った社員には必ず法律上の手当請求権がある」という意味ではありません。しかし、会社が「手当を出す方法は一切ない」と決めつける必要もありません。こうした制度を活用しながら、業務代替者へ報いる仕組みを作る選択肢があります。
相談するときは「育休への不満」ではなく「業務量と労働時間」を示す
上司や人事へ相談する際は、「育休の人がずるい」という話にすると、本来の問題が見えにくくなります。「従来5人で担当していた案件を3人で処理している」「平均残業が月○時間増えた」「期限超過やミスのリスクが高まっている」など、業務量を数字で示す方が建設的です。
代替要員の配置、優先順位の見直し、納期調整、担当案件の削減、手当の新設など、複数の対応策を会社に検討してもらいましょう。
残業時間が長くなりすぎていないかも確認する
時間外労働には上限規制があります。原則として月45時間・年360時間が上限で、臨時的な特別事情があり労使が合意する場合にも複数の上限があります。育休者が複数出たことを理由に、残った社員へ際限なく残業をさせてよいわけではありません。
業務量が増え、睡眠不足や体調不良が出ている場合は、単なる「チーム内の助け合い」の問題ではありません。上司・人事・産業医などへ早めに相談し、仕事の優先順位や人員計画そのものを見直してもらう必要があります。
まとめ
育休を取る同僚の権利は守られるべきですが、その結果生じる業務負担を残った社員だけが無制限に引き受けなければならないわけではありません。
実際に時間外労働が増えているなら、残業代の支払い状況を確認する必要があります。育休取得者を責めるのではなく、業務量と労働時間を客観的に整理し、会社へ人員配置や手当、業務削減を求めることが大切です。
出典
厚生労働省 労働条件・職場環境に関するルール
厚生労働省 育休中等業務代替支援コース
厚生労働省 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー