『名探偵コナン』阿笠博士ってどうやって稼いでいるの?「発明家」が受け取る「ライセンス収入」の収益モデルを検証してみた
発明家の主な収益モデル
ライセンス料には代表的な支払い方法があります。1つ目は契約時にまとまった額を受け取る方法、2つ目は販売量に応じて継続的に受け取る方法です。
阿笠博士はどうやって稼いでいた?
原作コミックス第12巻では、阿笠博士が株式会社バンダイの特殊科学班と「ボイスレコチェンジャー」を共同開発し、契約金を受け取ったことが描かれています。コナンが博士のワーゲンが新車になっていることに気づく場面もあり、発明がまとまった収入につながったことがうかがえます。
「ライセンス収入」の仕組み
作中で明らかなのは「共同開発」と「契約金」までで、阿笠博士が特許権を企業へライセンスしていたかは不明です。
現実には、特許権者が他者に特許発明の実施を認め、その対価を受け取る方法があります。特許法上の実施権には「専用実施権」と「通常実施権」があります。
ライセンス料率の目安
経済産業省が2025年3月に公表した「令和6年度 知的財産のライセンスに関する調査報告」では、特許権のロイヤルティ料率452件の平均値は3.2パーセント、中央値は3.0パーセントでした。
ただし、技術分野や企業との契約条件によって料率は異なります。
「ライセンス料」ってどのくらい支払われるの?
ライセンス料には、契約時などにまとまった金額を支払う「イニシャルフィー」と、実施量などに応じて継続的に支払う「ランニングロイヤルティ」があります。以下の表1に違いをまとめてみました。
表1
| 項目 | イニシャルフィー | ランニングロイヤルティ |
|---|---|---|
| 支払い時期 | 契約締結時 | 契約後、定期的 |
| 金額の決まり方 | 一定のまとまった額 | 実施量などに応じる |
| 特徴 | 製造販売量にかかわらず一定額 | 実施量によって支払額が変わる |
出典:公正取引委員会・中小企業庁・特許庁「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」を基に筆者作成
作中の「契約金」は、支払われ方だけを見ると「イニシャルフィー」に似ていますが、そもそも特許のライセンス契約だったのかどうかは明らかになってません。
ランニングロイヤルティならいくら?
参考としてロイヤルティ料率の平均値3.2パーセントを使って試算します。
仮に発明を利用した商品の年間売上高が1億円なら年間320万円になります。年間売上高が3億円なら960万円となります。これは作中当時の料率ではなく、2025年度公表の調査結果を使った仮定です。
「発明者」として収入を得るためには
個人でも要件を満たしていれば特許出願は可能です。
ただし、アイデアを思いついただけでは必ず特許を取得できるわけではありません。特許法上の「発明」に該当したうえで、産業上の利用可能性や新規性、進歩性などの要件を満たす必要があります。
また、特許を取得しただけで収入が発生するわけではありません。発明を収益化するには、企業に採用される技術であることや、実施を認める範囲、対価の支払い方法などの契約条件も重要です。
まとめ
阿笠博士は自身の発明を企業との共同開発につなげ、契約金を得たことが作中で描かれています。
特許権を企業へライセンスしていたかどうかは作品中では明らかになっていませんが、現実には「イニシャルフィー」や「ランニングロイヤルティ」によって発明を収益化する方法があります。
企業との共同開発まで実現した博士は、発明だけでなく企業との連携にも長けていたのかもしれません。
出典
特許庁 「用語解説 せ|用語解説」から 専用実施権
特許庁 「用語解説 つ|用語解説」から 通常実施権
経済産業省 ロイヤルティ料率に係るアンケート調査結果 p.9調査結果概要(ロイヤルティ料率|特許権)より数値抜粋
公正取引委員会・中小企業庁・特許庁「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー