70代で「どうせもうすぐ死ぬ」と“孫の学費400万円”や“娘の車の買い替え300万円”に散財する両親…これまで「2000万円」近く助けてくれましたが、平均余命はあと10年以上!?「早めの終活で破産」を防ぐポイントとは
70代の平均余命は? 70歳の男性は約16年、女性は約20年
厚生労働省の「令和7(2025)年簡易生命表の概況」によると、70歳の平均余命(その後に生きる年数の平均)は、男性が15.78年、女性が20.10年です。図表1のとおり、79歳でも平均余命は男性で9.69年、女性で12.71年と、70代ではおおむね10年以上あります。
図表1
厚生労働省 令和7(2025)年簡易生命表の概況より筆者作成
同じ簡易生命表から計算すると、70歳の人が90歳まで生きる割合は男性で約32%、女性で約55%です(筆者計算)。そのため、平均余命より長生きする可能性も考えておく必要があるでしょう。
70歳から平均余命まで生きるとしたら、必要な貯蓄はいくら?
総務省統計局の「家計調査」(2025年平均)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、年金などの社会保障給付22万8614円を含む実収入(税込み)が月25万4395円です。
これに対して、消費支出は26万3979円、税金や社会保険料などの非消費支出は3万2850円で、合計29万6829円です。差し引きすると、毎月4万2434円が不足しています。65歳以上の単身無職世帯では、不足額は毎月2万9980円です。
同調査では、世帯主が65歳以上の二人以上の無職世帯の持家率は95.5%と、ほとんどが持ち家です。そこで、ともに70歳で持ち家に住む夫婦が平均的な収支で暮らし、夫は約16年、妻は約20年と、それぞれ平均余命まで生きると仮定してみましょう。
この場合、夫婦2人で暮らす期間は16年、妻が1人で暮らす期間は4年となり、図表2のとおり、不足額の合計は約959万円です。
図表2
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要、厚生労働省 令和7(2025)年簡易生命表の概況より筆者作成
ただし、介護費用や住まいの大規模な修繕費など、家庭ごとに生じるまとまった出費までは見込んでいません。さらに、想定より長生きすれば不足額は増えるため、試算額に予備費を上乗せした貯蓄があると安心です。
子や孫を援助する前に押さえたい資産整理のポイント
子や孫への援助は資産整理にもなりますが、渡す金額や方法によっては、親の老後資金が不足したり、贈与税がかかったりする可能性があります。ここでは、援助の前に押さえたい3つのポイントを紹介します。
援助は老後資金を確保してから行う
親の生活費が足りなくなれば、援助を受けた子どもが今度は親の生活を支えることになりかねません。そのため、貯蓄のうち、老後の不足分(図表2では約959万円)と予備費は老後資金として残し、援助はそれ以外のお金で行うのが望ましいでしょう。
孫の学費は必要なときにその都度出す
国税庁によると、父母や祖父母などの扶養義務者から教育費に充てるために受け取った財産のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。
ただし、非課税となるのは必要な都度、直接学費などに充てる場合に限られ、財産を受け取った人が預金や株式・不動産などの購入資金に回すと贈与税の対象になります。
例えば、孫の学費400万円をまとめて渡すのではなく、入学金や授業料を支払うたびに必要な額を出せば、手元の資金を残しながら非課税の範囲で援助しやすくなります。
なお、教育資金を一括で贈与しても1500万円まで非課税となる特例は、2026年3月31日で終了しました。
車の購入資金などは贈与税に注意する
車の買い替え資金のような援助は、生活費や教育費として非課税になるとは限りません。贈与税は通常、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除の110万円を差し引いた額にかかります。
仮に300万円の全額が課税対象になると、贈与税は基礎控除後の190万円に10%を掛けた19万円です。この場合、贈与を受けた人は翌年2月1日から3月15日までに申告と納税が必要です。
まとめ
70歳の平均余命は男性で約16年、女性で約20年あり、「もうすぐ」とはいえない年月が残っています。その間、持ち家の夫婦が平均的な収支で暮らすと、約959万円が不足する計算です。
そのため、子や孫への援助は、老後資金と予備費を確保してから行い、学費は必要な都度出すなど、贈与税にも注意しましょう。
また、これまで2000万円近く援助を受けてきた場合は、親の老後資金について家族で話し合っておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和7(2025)年簡易生命表の概況
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者 : 金子賢司
CFP