「20万円以下なら申告不要」は、利益32万円には当てはまらない


特定口座には、証券会社が売るたびに税金を差し引く「源泉徴収あり」と、自分で申告する「源泉徴収なし」の2つがあります。源泉徴収ありを選んだ口座の売却益は、確定申告をしないことも選べる仕組みです。

 

会社員は、給与と退職金以外の所得の合計が20万円以下なら、原則として確定申告をしなくて構いません。そして、特定口座の株式等の譲渡による所得には、所得金額の合計金額に含まれないもの(20万円の計算から外してよいもの)があります。

 

ただし、この20万円の計算から外してよいのは、「源泉徴収ありの口座で申告しないことを選んだ売却益」だけです。源泉徴収なしの口座で出た利益は、20万円の判定に入ります。

 

今回の利益は32万円なので、20万円を超えています。夫の言う決まりそのものは正しいのですが、今回は確定申告が必要なケースといえるでしょう。

 

源泉徴収なしの特定口座では、証券会社が1年分の売買をまとめた「年間取引報告書」を作ります。この報告書の金額を確定申告書に写せば、売買を1件ずつ計算し直さなくても、簡単に申告できるでしょう。

 


利益32万円にかかる税金はいくらか


株の売却益には、所得税と復興特別所得税を合わせて15.315%、住民税5%の税金がかかります。給与とは分けて税額を計算するため、年収によって税率が変わることはありません。

 

2022年12月下旬のトヨタ株は、1800円台前半で取引された日が続いていました。今回のケースでは、買った値段を1株1830円、売った値段を1株2900円とし、売買の手数料はかからなかったものとして計算します。






・2900円×300株=87万円(売った金額)

・1830円×300株=54万9000円(買った金額)

・87万円-54万9000円=32万1000円(利益)

・32万1000円×20.315%=6万5211円(所得税と住民税の合計)




なお、源泉徴収ありの口座だったとしても、売ったときには、源泉徴収なしの特定口座と同じ6万5211円は差し引かれます。

 

口座の区分で変わるのは、自分で申告するか、証券会社が差し引くかという納め方の違いで、税金の額は変わりません。利益のおよそ5分の1が税金になり、手元に残る利益は次のとおりです。

 

・32万1000円-6万5211円=25万5789円(税金を引いたあとの利益)

 


申告しないとどうなるか、来年からはどうすればよいか


申告の期限を過ぎてから申告すると、期限後申告として扱われます。税務署の調査を受ける前に自分から申告した場合でも、本来の税金に加えて、原則として納める税金の5%の無申告加算税がかかります。納めるのが遅れた日数に応じて、延滞税も必要です。

 

来年以降は、源泉徴収ありに切り替えると、売るたびに証券会社が税金を差し引くため、申告をしなくても済むようになります。切り替えの届け出は、その年の最初に売る前までに出す決まりです。今年はすでに売っているため、切り替えが効くのは来年の売却からになります。

 


まとめ


源泉徴収なしの特定口座で出た利益は、会社員の所得金額の合計金額20万円の判定に含まれます。今回のケースでは、利益32万1000円で20万円を超えるため、確定申告が必要です。

 

かかる税金は、所得税と住民税を合わせて約6万5000円です。翌年3月の期限までに申告し、来年からの口座の区分を見直すとよいでしょう。

 


出典


国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

国税庁 No.1476 特定口座制度

国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき

 

執筆者 : 高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 【トヨタ株】夫が「1株1800円→2900円」のタイミングで“300株”売却!“源泉徴収なしの特定口座”で、本人は「会社員は20万円以下なら申告不要」と言いますが“利益32万円”は含まず大丈夫ですか? 」