【NTT株】1株「150円→170円」に高騰でも“配当利回り”は「3.47%→3.08%」に下がり微妙!? JT株なら「配当利回り3.63%」なので、配当目的なら売却して“乗り換える”べきですか? リスクを比較
NTT株の配当利回りが下がった理由
配当利回りは、年間の配当を株価で割って計算するものでします。年間の配当が変わらなくても、株価が上がれば利回りは下がります。
今回の例では、2024年10月には1株約150円だった株価が、2026年10月8日の終値では172.1円に上がりました。一方、年間の配当は、2025年3月期の1株5.2円から、2026年3月期は5.3円に増えました。
株価の上昇率が大きかったため、現在の株価で計算した利回りは約3.47%から約3.14%に下がっています。
購入価格で見ると利回りは約3.53%
見落としがちなのが、利回りには「現在の株価が基準」と「購入したときの価格が基準」の2種類があることです。150円で買った人にとって、年間の配当5.3円は購入価格の約3.53%にあたります。これは、購入時の約3.47%から見るとむしろ上がっているのです。
1000株持っていれば、年間の配当金は5200円から5300円に増えています。売却していない時点での利益(含み益)も2万2100円あります。利回りの低下は、これから買う人にとっての数字が変わったという見方といえるでしょう。
JT株に乗り換えると配当は増える?
172.1円でNTT株1000株を売ると、売却額は17万2100円になります。NISA成長投資枠を利用している場合、値上がり益に対して課税されません。
これを利回り約3.63%のJT株に回せたとすると、単純計算で年間の配当金は約6247円になります。このケースでは、NTT株を保有している現在の配当5300円よりも約947円多くなります。
ただし、課税口座で売却した場合、売却益2万2100円に対して約20.315%の税金がかかります。約4490円が引かれるため、手取りは約16万7610円になります。
この手取り額で計算すると、JT株の配当は同じ利回りでも約6084円となってしまい、手取りで見ると、差額は約784円となります。
配当の差より株価変動が大きい理由
乗り換えで配当が増えるのは約947円ですが、株価はそれ以上に動くことがあります。17万2100円をJT株購入に充てたと仮定して、もし株価が0.55%下がった場合、評価額は946.55円減ってしまいます。これは、配当の増加分と同じ額の損失です。
株価がわずか0.55%程度下落しただけでも、増えた配当はなかったことになる計算です。逆に株価が上がれば、配当が増加するだけではなく、さらに値上がり益が出る可能性もあります。
NTT株を持ち続けた場合も株価は動くため、どちらが得かは売却の時点では分かりません。配当利回りの差だけで乗り換えても、トータルで得になるとは限らないのです。
NTT株を売るか持つかの判断基準
高配当株の中には、株価が下がって利回りが高く見えているだけの銘柄もあります。業績が悪化すれば配当が減る可能性もあるため、目先の利回りだけで決めるのは危険です。次の3点を確認しましょう。
・配当の継続性:NTT、乗り換え先、どちらも安定して配当を出せるか
・業績と株価水準:利益が配当を支えていて、株価が割高すぎないか
・売却後の手取り額:税金や手数料を引いても配当が増えるか
まとめ
NTT株は、現在の利回りが下がっても、購入価格で見ると利回りは上昇しており、含み益も出ています。一方で、より高い配当を求めて乗り換えを検討する方法もあります。
ただ、税金や手数料が発生する場合は、乗り換えによる配当の増加は思ったより小さくなることが多いといえるでしょう。
「利回りが下がったから売る」と決める前に、売却後の手取り額と、乗り換え先の配当が減るリスクを比較してみることが重要です。配当を重視するか、値上がり益も含めたトータルのリターンを重視するかで、判断が分かれるケースと言えるでしょう。
※株価や配当金は今回の比較用に設定した数値です。実際の株価や配当利回りは変動するため、投資判断の際は最新の情報を確認してください。
執筆者 : 藤田寛子
1級ファイナンシャルプランニング技能士、証券外務員二種