駅から少し離れた「70坪」の土地について、「アパートより戸建て賃貸のほうが向いている」と提案されました。同じ土地でも、活用方法によって収益は大きく変わるのでしょうか?
アパートと戸建て賃貸では収益の仕組みが異なる
アパート経営と戸建て賃貸は、どちらも家賃収入を得る土地活用の方法ですが、収益の仕組みが異なります。
例えば、4戸のアパートを1戸当たり月6万円で貸し出した場合、満室時の家賃収入は月24万円、年間288万円です。
一方、70坪の土地に戸建て賃貸を2棟建築し、それぞれ月12万円で貸し出した場合も、年間家賃収入は288万円となります。
ただし、空室が発生した場合の影響には違いがあります。4戸のアパートで1戸が空室になると家賃収入は25%減少しますが、戸建て賃貸2棟のうち1棟が空室になると50%減少します。
このように、満室時の家賃収入が同じでも、戸建て賃貸は空室による収入減少が大きくなる場合があります。なお、これらは仮定の試算であり、実際の建築戸数や家賃は土地の条件によって異なります。
建築費や維持費によって実際の収益は変わる
土地活用では、家賃収入だけでなく、建築費や維持費も考慮する必要があります。
例えば、アパートの建築費を5000万円、戸建て賃貸2棟の建築費を4000万円と仮定します。どちらも年間家賃収入が288万円の場合、建築費に対する年間家賃収入の割合は次のとおりです。
・アパート:288万円÷5000万円×100=5.76%
・戸建て賃貸:288万円÷4000万円×100=7.2%
この条件では、建築費に対する年間家賃収入の割合は戸建て賃貸のほうが高くなりますが、土地の取得費や税金、維持費などを含まない単純な試算です。
実際の賃貸経営では、管理委託料や火災保険料、固定資産税、設備の修繕費などが発生します。アパートでは共用部分の管理費用、戸建て賃貸では屋根や外壁などの修繕費も考慮する必要があります。
また、建築資金を借り入れる場合はローン返済も発生するため、家賃収入が多くても手元に残るお金が少なくなる可能性があります。
このように、満室時の家賃収入が同じでも、建築費や維持費などによって収益性は変わります。そのため、空室や修繕費、借入金の返済などを見込んだ年間収支を比較することが重要です。
駅から離れた土地では入居者の需要を確認しよう
アパートと戸建て賃貸のどちらが向いているかは、土地の立地や周辺の賃貸需要によって異なります。
例えば、駅に近い地域では単身者向けアパート、駅から離れた住宅地では広い居住空間や駐車場を求めるファミリー層向けの戸建て賃貸に需要がある場合があります。
ただし、駅から離れているという理由だけで戸建て賃貸が適しているとは限りません。周辺の学校や商業施設、交通環境、賃貸物件の状況なども確認する必要があります。
また、70坪は約231平方メートルですが、用途地域や建ぺい率、容積率、接道条件などによって建築できる建物の規模は異なります。戸建て賃貸を2棟建築する場合も、建物の配置や敷地の設定によって、建築基準法などの条件を満たす必要があります。
そのため、不動産会社には想定家賃だけでなく、建築可能なプランや周辺の入居需要についても確認しましょう。
まとめ
70坪の土地を活用する場合、アパートと戸建て賃貸では、満室時の家賃収入が同じでも、建築費や空室リスク、維持費などによって収益性が大きく変わる可能性があります。
戸建て賃貸はファミリー層の需要が見込める地域で選択肢になりますが、必ずしもアパートより収益性が高いわけではありません。
また、土地の形状や建築上の制限によって、実現できる建築プランも変わります。不動産会社には両方の活用方法について収支計画を作成してもらい、空室や修繕費も考慮したうえで、長期的に安定した収益を見込める方法を検討しましょう。
出典
国土交通省 賃貸経営のシミュレーションの方法
国土交通省 みんなで進めるまちづくりの話
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー