銀行の勧めで「退職金1000万円」を“ファンドラップ”に預けた父…1年後「運用益8万円」なのに“手数料17万円”に青ざめ! 差し引き「9万円のマイナス」は取り戻せる? 手数料の中身を確認
ファンドラップの手数料は、何に対して払っているのか
ファンドラップは、金融機関と投資一任契約を結び、投資信託を使った運用を任せるサービスです。どの投資信託をどれだけ持つか、配分をいつ見直すかは金融機関が決めます。
金融庁によると、ファンドラップで顧客が負担する費用は大きく3種類あります。組み入れた投資信託の信託報酬、ファンドラップの手数料、投資一任の報酬です。後ろの2つを合わせただけでも、年率1.5%以上のものが多いとされています。
手数料は、残高に応じてかかる仕組みのため、成績が振るわない年でも差し引かれます。ファンドラップの手数料などは口座から、信託報酬は投資信託の財産から日々引かれるため、報告書の手数料欄に信託報酬まで含まれているかも見ておくと安心です。
運用益8万円に対し、手元はいくら減ったのか
今回のケースでは、ファンドラップの手数料と投資一任の報酬で年1.5%、信託報酬で年0.2%、合わせて年1.7%かかる設定で計算します。
・1000万円×1.5%=15万円(ファンドラップの手数料など)
・1000万円×0.2%=2万円(信託報酬)
・15万円+2万円=17万円(1年間の手数料)
手数料を引く前の運用益は8万円なので、差し引きは次のとおりです。
・17万円-8万円=9万円(減った金額)
・1000万円-9万円=991万円(1年後の残高)
預けた1000万円に対して、1年で0.9%減った計算です。
9万円を取り戻すには、どれだけの運用成績が必要か
手数料と同じ年1.7%の運用益が出て、ようやく残高が減らずに済みます。2年目に1000万円へ戻すには、2年目の手数料に加えて、9万円分を上乗せして稼ぐ必要があります。
・991万円×1.7%=16万8470円(2年目の手数料)
・16万8470円+9万円=25万8470円(2年目に必要な運用益)
25万8470円は、991万円に対して約2.6%の運用成績です。1年目の0.8%の3倍以上の成績が要る計算です。
金融庁の2022年のレポートでは、債券などの安全資産で年1.5%を上回る収益を上げるのは難しいとして、手数料を下回る「逆ザヤ」のファンドラップが多いと指摘しています。
安定を重視したコースほど、取り戻すまでに時間がかかりやすいでしょう。一方、株式の多いコースで相場が上向けば1年で戻ることもあり、結果は前提しだいで変わります。
続けるか見直すかは、何を見て決めればよいか
まずは、運用報告書で手数料の料率と、手数料を引いたあとの成績を確かめましょう。料率は金融機関やコースによって異なり、預けた金額や保有期間に応じて下がる商品もあります。
同じような配分の投資信託を自分で持てば、かかる費用は信託報酬が中心です。前記のレポートでも、手数料を引いたあとの成績がバランス型の投資信託に及ばないファンドラップが多いとされています。
ただし、配分の見直しを任せられる点をどう評価するかは人によって違い、相場しだいで結果も変わります。一律にやめたほうがよいとは言い切れません。
まとめ
今回のケースでは、1年間の手数料17万円が運用益を上回り、残高が減りました。減った分を2年目で取り戻すには、年2.6%ほどの運用成績が必要です。
手数料の料率と、手数料を引いたあとの成績を確かめ、ほかの投資信託とも比べたうえで、続けるかどうかを家族で話し合うとよいでしょう。
出典
金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート2022
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士