「事故の責任は一切負いません」という約束は無効になる


料金を払って駐車場を使うのは、個人と事業者が結ぶ契約で、消費者契約法の対象です。同法の第8条は、事業者が損害を賠償する責任の全部を免除する条項を無効と定めています。

 

消費者庁は消費者契約法の解説で、無効になる条項の例として「いかなる理由があっても一切損害賠償責任を負わない」といった書き方を挙げています。看板の文言が利用の条件として扱われるとしても、責任をまるごとなくす部分は無効と考えてよいでしょう。

 

ただし、無効になるのは「どんな場合も払わない」という部分に限られます。条項が無効になっても、事業者がどんな場合でも責任を負うわけではないと解説にもあります。管理会社に落ち度がないならば、修理代を払ってもらうことはできません。

 


修理代12万円を誰が払うかは、事故の原因で決まる


機械の不具合や点検不足が原因なら、管理会社に修理代を請求できる可能性が高いでしょう。係員が車の位置やドアの閉まり具合を確かめずに機械を動かした場合も同じで、従業員の過失は事業者自身の責任になるとされています。

 

一方、ドアミラーをたたまずに立体駐車場に入れた、ドアが閉まりきっていなかった、決められた位置に止めなかったなど、利用者の操作が原因なら、修理代は自分で負担することになります。両方に落ち度があるときは、修理代を割合で分ける形になることもあります。

 

今回のケースでは、管理会社の責任と認められれば12万円の全額を請求でき、自分で払う分はなくなります。反対に、自分の操作ミスと判断されれば、12万円をすべて自分で払うことになるでしょう。まだ乗って1年の車でも、原因しだいで負担は大きく変わります。

 

管理会社が支払いに応じないまま修理を急ぐなら、自分の車両保険を使う方法もあります。ただし、保険を使うと等級が下がって翌年からの保険料が上がるうえ、契約の種類によっては補償されません。12万円を自分で払う場合とよく比較してから決めるとよいでしょう。

 


請求するなら、その場で何を残せばよいか


原因をめぐって争いになったとき、判断の材料になるのは事故の直後の記録です。時間がたつと、傷がいつできたのか分からなくなるためです。車を動かす前に、次の点を残しておくと安心でしょう。






・壊れた箇所と、車が止まっていた位置の写真や動画

・看板の文言の写真

・係員の名前、時刻、そのときの指示の内容

・駐車券や領収書、ドライブレコーダーの映像




その場で係員や管理会社に連絡し、事故の報告書を作ってもらうことも欠かせません。修理の見積書を取ったら、写真とあわせて管理会社に示し、支払いを求めましょう。

 

話し合いで決まらないときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。

 


まとめ


立体駐車場に「事故の責任は一切負いません」という看板があっても、責任をまるごとなくす約束は消費者契約法では無効です。

 

今回のケースでは、機械の不具合や係員のミスが原因なら、修理代12万円を管理会社に請求できる可能性があります。自分の操作が原因なら、自分で負担することになるでしょう。

 

愛車が壊れたときは、その場で写真や係員の名前を残し、原因を示せるようにしておくとよいでしょう。

 

執筆者 : 高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 愛車の「ヤリスクロス」は乗って1年目…なのに“立体駐車場の機械”が動いた拍子に、ミラーとドアが壊れ「修理代12万円」に! 管理会社は「看板のとおり事故の責任は一切負いません」と回答…機械の不具合でも自腹なんですか!? 」