父の遺産分割協議後に「500万円」のタンス預金が見つかりました。これも相続財産に加える必要があるでしょうか?
あとから見つかったタンス預金も相続財産の対象になる
国税庁によると、相続税が課される財産とは、亡くなった人が保有していた金銭に換算できる経済的価値があるものすべてを指します。そのため、タンス預金も相続財産の対象になります。
タンス預金が見つかったときは、ほかの相続財産と合計し、相続財産の合計額が基礎控除よりも多い場合は、相続税の申告が必要です。
遺産分割後に500万円が見つかった場合の相続税
遺産分割後に500万円が見つかったことで相続税の課税対象となった場合は、できるだけ早く相続税の申告をすることが大切です。放置していると、無申告として加算税の対象になる可能性があります。
また、すでに申告済みで、計算した結果税額が増える場合は、再度申告が必要です。申告期限内であれば訂正申告、期限後なら修正申告をします。
申告に必要な書類や相続税の計算方法を事前に調べておくとよいでしょう。
申告する際に必要な準備
国税庁によると、相続税の申告に必要な準備は次の通りです。
・相続人の確認
亡くなった人と相続人になる人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せ、相続人が誰かを確認します。遺産分割協議後でも遺産額が変動する場合は、念のため再度チェックします。
・遺言書の有無の確認
遺言書も発見された場合は、公正証書遺言に該当するか、または法務局で保管されていた自筆証書遺言かどうかを確認します。
これらに該当しない場合は、開封前に家庭裁判所で検認してもらう必要があります。最初の遺産分割協議時点で遺言書が見つかっており、新たな遺言書もない場合は、この手順は不要です。
・相続財産と債務の確認および評価
亡くなった人の相続財産や債務の有無を調べ、一覧表を作ります。葬式費用は相続税の計算時に金額を差し引けるため、領収書などは保管しておきましょう。一覧を作ったあとは、各財産の評価額を調べます。
・遺産分割
タンス預金が見つかる以前に遺産分割協議を終えている場合は、相続人同士でタンス預金を分けるかを相談します。以前の遺産分割協議のやり直しは、原則不要です。
ただし、話し合いがうまくいかないなどの理由で、遺産分割協議自体のやり直しが必要なケースもあります。必要に応じて専門家に相談するとよいでしょう。
これらの準備が終わったあと相続税額を計算し、必要な場合は相続税の申告、納税をします。
相続税の計算例
相続財産の合計が基礎控除「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えていた場合、相続税の課税対象です。次の条件で、あとから500万円のタンス預金が見つかった場合の相続税額を求めましょう。
・タンス預金が見つかる前の相続財産は4000万円
・相続人は子ども2人
・相続税の課税対象となる生前贈与や遺贈はない
・債務や葬式費用などは考慮しない
・全体の相続税額を計算する
まず、相続人が2人のため、基礎控除額は4200万円です。タンス預金が見つかる前は基礎控除内のため、相続税の申告は必要ありません。しかし、タンス預金を加算すると相続財産は4500万円になるため、基礎控除を超過した300万円に対して課税されます。
相続人2人の場合、相続税額は合計30万円です。なお、実際には相続人ごとに、実際に受け取った相続財産の割合に応じて、相続税を負担します。
あとから見つかったタンス預金も相続財産扱いになるため必要に応じて相続税の申告が必要
タンス預金も経済的価値のある財産であり、被相続人が所有していたものであれば、相続財産として扱われます。タンス預金が加算されることで相続税の基礎控除額を超えた場合は、相続税の申告と納税を行いましょう。申告済みの場合は、タンス預金の加算により税額が変動した分に応じて、訂正申告や修正申告が必要です。
なお、遺産分割協議が成立したあとにタンス預金が見つかった場合は、新たに見つかった現金について相続人全員で話し合い、分割方法を決めることが考えられます。ただし、状況によっては遺産全体の分割について改めて協議する場合もあるため、注意が必要です。
あとから見つかった財産をめぐるトラブルを防ぐためにも、相続人同士で十分に話し合い、全員が納得できる形で遺産分割を進めることが大切です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4202 相続税の申告のために必要な準備
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和8年度版) 財産を相続したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー