「大学には行かず、高卒で国家公務員になる」と言う息子。「4年早く働くほうが稼げる」と考えているようですが、大卒で国家公務員になる場合と生涯収入はどれくらい違うのでしょうか?
国家公務員の初任給は高卒と大卒でどれくらい違う?
人事院によると、令和8年度の国家公務員一般職の初任給例は、本府省採用の場合、大卒程度試験の採用者が28万7600円、高卒者試験の採用者が24万9560円です。月額では3万8040円、年間では45万6480円の差があります。
さらに、ボーナスを含めると差は広がります。令和8年の人事院勧告では、年間のボーナスが4.70ヶ月分となっています。
これを初任給に単純に掛け合わせ、年収を「月給×16.70ヶ月」で計算すると、大卒は約480万円、高卒は約417万円となり、年間で約63万円の差が生じます。
ただし、実際のボーナスは俸給などをもとに計算されるため、手当を含む初任給に4.70ヶ月分を掛けた金額がそのまま支給されるわけではありません。
高卒と大卒の国家公務員では生涯収入にどれくらい差が出る?
生涯収入を比較するには、年齢による給与の変化も確認する必要があります。
人事院の「令和7年国家公務員給与等実態調査 報告書」によると、行政職俸給表(一)の平均給与月額は、表1のとおりです。なお、表1は年齢階層別のデータの一部を抜粋したもので、平均給与月額には各種手当が含まれます。
表1
| 年齢 | 高卒 | 大卒 |
|---|---|---|
| 24歳以上28歳未満 | 約27万5000円 | 約28万4000円 |
| 32歳以上36歳未満 | 約34万円 | 約35万5000円 |
| 40歳以上44歳未満 | 約39万8000円 | 約44万8000円 |
| 48歳以上52歳未満 | 約45万9000円 | 約50万9000円 |
| 56歳以上60歳未満 | 約49万9000円 | 約53万5000円 |
出典:人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査 報告書」を基に筆者作成
この調査データをもとに、18歳から60歳になる直前までの累計収入を試算します。
各年齢階層の平均給与月額に16.70ヶ月を掛け、該当する年数分を合計します。高卒の18~19歳は20歳未満の平均給与を使用し、各階層内では給与が一定と仮定します。
その結果、高卒は約2億5900万円、大卒は約2億6700万円となり、大卒が約726万円上回る計算です。
ただし、これは各年齢階層の平均給与をもとにした概算であり、将来の昇給や給与改定、退職金は考慮していません。また、実際のボーナスの計算方法とも異なります。
そのため、生涯収入の差が必ず700万円以上になるわけではありませんが、4年間早く働いても、大卒の累計収入が上回る可能性があると分かります。
高卒で就職するメリットは4年間の収入と大学費用の節約
高卒で国家公務員になるメリットは、早く収入を得られることです。例えば、高卒の初任給24万9560円が4年間続くと仮定し、ボーナスも含めて16.70ヶ月分で計算すると、収入は約1667万円になります。
実際には昇給やボーナスの支給条件によって金額が変わりますが、大学に通う4年間でまとまった収入を得られる点は魅力でしょう。
さらに、大学進学に必要な学費を負担せずに済むこともメリットです。大学の種類や自宅から通うかどうかによって費用は異なりますが、進学すれば授業料などに加えて生活費が必要になる場合もあります。
一方、大卒で就職すれば、将来的に給与が高くなる可能性があります。また、大学で学んだ専門知識を仕事に生かせることもあるでしょう。
どちらが経済的に有利かを考える際は、生涯収入だけでなく、大学進学にかかる費用も含めて比較することが大切です。
まとめ:生涯収入だけでなく本人の希望も踏まえて進路を考えよう
今回の試算では、60歳になる直前までの累計収入は大卒が約726万円多い結果となりました。ただし、実際の収入は勤務先や昇進、給与改定などによって変わります。
高卒で就職すれば、大学進学にかかる費用を抑えながら、早くから収入を得られます。そのため、生涯収入だけで高卒が不利とは言い切れません。
国家公務員を目指す理由や将来どのような仕事をしたいのかを親子で話し合い、経済面と本人の希望の両方を踏まえて進路を選びましょう。
出典
人事院 国家公務員試験採用情報NAVI 国家公務員の紹介
人事院 令和8年 人事院勧告・報告の概要
人事院 令和7年国家公務員給与等実態調査 報告書 行政職俸給表(一)の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均給与月額(29ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー