子どもの大学進学で「100万円」が必要になり、NISAの取り崩しを検討中。夫は「一度使った非課税枠はもう戻らない」と言いますが、売却する「100万円分」の枠は諦めるしかないのでしょうか?
NISAから途中でお金を引き出してもよい?
少額投資非課税制度(NISA)は、株式投資や投資信託などを一定の条件のもと、非課税で行える金融サービスです。NISAは2014年1月からスタートし、2024年1月からは制度を新たに「新NISA」として再スタートしました。
2024年からのNISAでは、「つみたて投資枠」として年間120万円、「成長投資枠」として年間240万円の合計360万円分の非課税枠が毎年付与されます。生涯を通じての非課税保有限度額は1800万円が上限です(成長投資枠はそのうち1200万円が上限)。
NISAで投資している商品は、いつでも売却し、その後現金として引き出すことが可能です。現金化するまでに少し時間がかかりますが、急ぎでなければ必要な出費をカバーするために活用できます。
売却したら非課税枠はどうなる?
NISAにある100万円分の投資枠を取り崩した場合、非課税枠は消失しません。商品を売却すると、その商品を購入したときの金額(簿価)分、売却の翌年以降に生涯の非課税保有限度額が復活するためです。
例えば、NISAで2026年1月に100万円分の株式を購入したとしましょう。ほかに保有している商品がない場合、生涯の非課税保有限度額は残り1700万円です。その後2026年9月に100万円で売却すると、翌年以降に100万円分の非課税枠が復活し、生涯の非課税保有限度額は1800万円に戻ります。
今回のケースで保有しているNISAの100万円についても、売却の翌年以降に非課税枠として将来利用可能です。
なお、夫が話している「非課税枠は戻らない」点は、旧NISAの制度に言及しているのかもしれません。旧NISAでは非課税枠の再利用はできませんでした。
「売却額」ではなく「取得金額」で非課税枠が復活する
注意点として、商品を100万円で売却しても、必ずしも100万円の非課税枠が復活するとは限りません。復活する非課税枠は、あくまで商品の取得にかかった額です。
仮にある株式を80万円で取得し、その株式が100万円まで値上がりした場合、売却で得られる額は100万円ですが、非課税枠として復活する枠はあくまで80万円です。逆に60万円に値下がりしたときに売却しても、復活する枠は80万円となります。
非課税枠が復活しても年間投資枠は超えられない
非課税枠が復活する制度は、「生涯を通じての非課税保有限度額(1800万円)」に限った話です。枠が復活しても、毎年付与される360万円の非課税枠(つみたて投資枠の120万円と成長投資枠の240万円)を超えて投資することはできません。
例えば2026年1月に、100万円分の株式を取得した場合、ほかにNISAで投資商品を保有していなければ、年間投資枠の残りは260万円です。また生涯を通じての非課税保有限度額は1700万円です。
その後、同年9月に株式を売却すると、売却の翌年以降に100万円分の枠が復活し、生涯を通じての非課税保有限度額は1800万円に戻ります。ただし、2026年の年間投資枠は260万円のままです。
売却しても生涯の非課税保有限度額は復活する
2024年からのNISAの新制度では、保有している投資商品を売却しても、非課税枠が消失することはありません。売却した商品の取得額分が、売却の翌年以降に非課税枠として、生涯を通じての非課税保有限度額1800万円に戻ります。
ただし、復活する枠が売却した商品の現在価格ではなく、あくまで取得に要した額分である点に注意が必要です。
また、復活する枠は生涯の非課税保有限度額であり、年間投資枠ではないため理解しておくとよいでしょう。
出典
金融庁 NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー