残り「2200万円」の住宅ローンを「貯金500万円」で“繰り上げ返済”予定。でも銀行で「返済期間が10年を切ると住宅ローン控除が終わりますよ」と止められた!“年15万円の控除”を失うことに? 利息と比較
「返済期間が10年を切る」のは、残りの期間のことなのか?
国税庁によると、住宅ローン控除の対象になるのは、契約で10年以上にわたって分割返済することとされている借入金です。繰上返済で期間が短くなっても、当初の契約で決まっていた最初の返済月から、短くなった最後の返済月までが10年以上なら、控除は続きます。
基準は、残りの期間ではなく、最初の返済月から数えた全体の期間です。今回は、令和5年に新築の一般住宅へ入居し、借入2400万円を35年で返済しているとします。
この場合、期間短縮型で繰上返済をして完済が8年早まっても、全体の期間は約27年あるため、控除は終わりません。
500万円を繰上返済すると、控除はいくら減るのか
控除が減るのは、年末のローン残高が減るためです。今回のケースを、繰上返済は年内に済ませ、年末残高が500万円減るものとして、控除率0.7%で計算します。
・2200万円×0.7%=15万4000円(いまの控除額)
・2200万円-500万円=1700万円(繰上返済後の年末残高の目安)
・1700万円×0.7%=11万9000円(繰上返済後の控除額)
・15万4000円-11万9000円=3万5000円(減る控除額)
失うのは、年15万円ではなく、年3万5000円です。
減る控除額と減る利息では、どちらが大きいのか
一方、繰上返済をすると利息も減ります。借入2400万円、35年、金利年1.0%のローンで、500万円を期間短縮型で繰上返済すると、完済は約8年早まり、利息は約157万円減ります。
控除が減る期間は、令和5年入居の控除期間13年のうち、令和8年分から令和17年分までの10年間です。
・3万5000円×10年=35万円(減る控除額の目安)
・157万円-35万円=122万円(利息の減少から控除の減少を引いた差)
この前提では、繰上返済のほうが約122万円得になる計算です。日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1.25%程度に引き上げました。金利が年1.5%に上がったとして、同じ条件で計算します。
・約251万円(利息の減少。完済は約8年半早まる)
・251万円-35万円=216万円(利息の減少から控除の減少を引いた差)
金利が上がるほど、繰上返済が有利になる計算です。ただし、金利が控除率の0.7%を下回ると、利息の減少より控除の減少のほうが大きくなる場合があります。
繰上返済の前に、何を確かめておくべきか
例えば、15年で返済する契約で、7年目に大きく繰り上げて残りを2年にすると、全体の期間は次のとおりになります。
・7年+2年=9年(最初の返済月から最後の返済月までの期間)
10年に届かないため、その年以降は控除を受けられません。繰上返済の前には、最初の返済月から新しい最後の返済月までが10年以上になるかを、銀行に確かめるとよいでしょう。返済額を減らす方法なら、期間の判定には影響しません。
まとめ
今回のケースでは、期間短縮型で繰上返済をしても全体の期間は約27年あり、控除は終わりません。減る控除額は年3万5000円で、利息の減少と比べると、繰上返済のほうが約122万円有利です。
控除が終わるのは、全体の期間が10年を下回る場合です。繰上返済の前に、期間の条件を確かめておくとよいでしょう。
出典
国税庁 繰上返済等をした場合の償還期間
国土交通省 住宅 住宅ローン減税
日本銀行 金融市場調節方針の変更について
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士