45歳の兄が「資産1億円」でFIRE…新NISAで「年36万円」の“非課税配当”を受け取ってるのに、国民年金保険料「年21万5040円」が全額免除と聞き驚き! 払えるはずなのにナゼ? 配当の扱いとは
2026年度の国民年金保険料は年21万5040円
会社員が退職して厚生年金の加入者でなくなり、配偶者の扶養にも入らない場合、20歳以上60歳未満であれば原則として国民年金の第1号被保険者になります。
日本年金機構によると、2026年度の国民年金保険料は月1万7920円です。毎月納付した場合の年間保険料は次のとおりです。
1万7920円×12ヶ月=21万5040円
FIRE後は給与がなくても、原則としてこの保険料を自分で納付しなければなりません。ただし、所得が一定額以下の場合などは、申請によって保険料の全部または一部が免除されます。
「資産1億円」でも全額免除の対象になり得る
意外に感じるかもしれませんが、国民年金保険料の免除審査で確認されるのは、保有する金融資産の総額ではなく、本人・配偶者・世帯主の前年所得です。
日本年金機構によると、全額免除の所得基準は次の式で計算します。
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
例えば、扶養親族等がいない場合の基準額は67万円です。兄が独身で自ら世帯主となっており、前年所得が67万円以下であれば、資産が1億円あっても所得基準上は全額免除の対象になり得ます。
一方、親など所得のある人が世帯主の場合や、所得のある配偶者がいる場合は、その人の前年所得も審査されるため注意しましょう。
新NISAの「年36万円の配当」はどう扱われる?
新NISAでは、非課税口座で保有する上場株式などの配当や分配金、売却益が非課税です。
兄が新NISAで受け取る年36万円の配当がきちんと非課税となっていれば、課税される配当所得にはあたりません。NISA以外に給与や事業所得などがなければ、「年36万円の配当があるから全額免除の基準を超える」とはならないのです。
ただし、国税庁によると、NISAで配当が非課税になるのは、証券会社などを経由して受け取る「株式数比例配分方式」を選んだ場合に限られます。銀行口座などで受け取る方式だと、NISA口座の株式でも配当は課税対象です。
また、NISA以外の課税口座で得た所得や不動産所得などがあれば、免除の判定に影響する場合もあるため、確認が必要です。
FIREした直後は「前年所得」に注意
免除審査では、原則として前年の所得が使われる点にも注意しましょう。
例えば、2026年度分(2026年7月~2027年6月)の免除審査では、2025年中の所得が審査対象です。2026年にFIREし、2025年は会社員として高い給与を得ていた場合、通常の所得基準では全額免除にならない可能性もあるでしょう。
ただし、会社を退職した場合は「失業等による特例免除」を利用できる場合があります。日本年金機構によると、失業などの事実が確認できれば、失業した本人については前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。雇用保険被保険者離職票など、退職の事実を確認できる書類が必要です。
なお、世帯主や配偶者は通常どおり所得審査の対象となります。
全額免除なら将来の年金も「満額」になるわけではない
全額免除が承認されれば、その期間の保険料を納める必要はない一方で、老齢基礎年金に反映されるのは全額納付した場合の2分の1です。
日本年金機構によると、免除された保険料は10年以内であれば追納でき、将来の年金額を増やせます。
ただし、免除の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に一定の加算額が上乗せされます。資産に余裕があるFIRE世帯なら、「免除を受けられるか」だけでなく、将来の年金額とのバランスも考えておくとよいでしょう。
まとめ
国民年金保険料の免除審査では、資産額そのものではなく、本人・配偶者・世帯主の前年所得が確認されます。そのため、「資産1億円だから全額免除を受けられない」とは限りません。
新NISAで非課税となる年36万円の配当しか所得がなく、世帯主や配偶者の所得などの条件も満たしていれば、年21万5040円の国民年金保険料が全額免除となる可能性があるといえるでしょう。
ただし、全額免除となった期間について老齢基礎年金額に反映されるのは、保険料を全額納付した場合の2分の1です。FIREした時期によっては前年の給与所得が審査対象になるため、退職による特例免除も含めて、年金事務所などで確認しておきましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー