年収500万円で毎月「約4万円」が“年金保険料”で天引き…しかも知人に「会社負担の年46万円も国に盗られてるよ」と言われ衝撃!「老後のために仕方ない」と思ってたのに、年金額に直接加算されないんですか?
会社負担の年間46万円はどこへ? 社会保険料の「労使折半」の基本構造
日本の厚生年金保険制度では、保険料を会社(事業主)と労働者(被保険者)が半分ずつ負担する「労使折半」の仕組みになっています。
例えば、厚生年金保険料率は18.3%(折半で9.15%)で、年収500万円(平均標準報酬額41万7000円と仮定)の会社員の場合、年間保険料総額は約91万5000円となり、労使で半分ずつ折半するため、本人の年間負担額は約45万7000円(月あたり約3万8000円)という計算になります。
そして会社側も同額を負担し、事業主として国(日本年金機構)へ納付するという流れです。
しかし、個人に毎年送られてくる「ねんきん定期便」や将来の受給試算額に記載されているのは、本人の標準報酬月額や標準賞与額をベースにした数値となります。
個人が納めた分のみが記載されているように見えるため、「自分が払った年間約46万円しか反映されず、会社が納めた同額分の約46万円は国に吸収されているのではないか?」といった誤解が生じやすくなっているようです。
会社負担分が「個人年金」に直接加算されない理由と年金制度の仕組み
会社が負担している年間約46万円はなぜ、個人の年金額に直接上乗せされて記録されないのでしょうか。その背景には、日本の公的年金制度が個人ごとの「積立型」ではなく、現役世代が納めた保険料でそのときの高齢者を支える「世代間扶養(賦課方式)」を採用している点が挙げられます。
老齢厚生年金の報酬比例部分の受給額は、「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」という計算式で算出されます。ここで使われている「5.481/1000」という給付乗数は、会社負担分を含めた全体の保険料率18.3%(本人の9.15%+会社の9.15%)が納付されることを前提として設定されている数値です。
つまり、会社負担分が個人の年金口座へ個別にカウントされていなくとも、制度全体の給付水準を支える財源としてあらかじめ計算に組み込まれていると言えるでしょう。
仮に会社負担が存在しなかった場合、現在の給付水準(年収500万円で40年間勤務した場合の月額約15万円)を維持することは不可能となり、受給額が大幅に減額される可能性も指摘されています。
会社負担分は国に奪われているわけではなく、年金給付を支えるために欠かせない土台となっていると考えられます。
厚生年金ならではの手厚い補償と「会社負担」がもたらす恩恵
会社員にとって、労使折半によって会社が保険料の半分を負担している仕組みは、全額自己負担となる自営業者などの国民年金(第1号被保険者)と比較した場合、非常に大きな恩恵と言えます。
会社員の場合、年間約91万5000円に上る厚生年金保険料の実質半額を会社に肩代わりしてもらっている状態です。
さらに、会社が半分を負担しているのは厚生年金保険料だけにとどまりません。健康保険料についても同様に会社が折半負担しており、傷病手当金や出産手当金といった休業中の生活を支える手厚い給付制度が整えられています。
加えて、万が一の障害や死亡に備える「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」などのセーフティーネットも、厚生年金ならではのメリットです。
これらと同等の手厚い保障を民間保険だけでカバーしようとした場合、毎月かなりの保険料負担が発生すると予想されます。半額の自己負担でこれほど手厚い補償を受けられる点は、会社員の大きな強みと捉えることができるでしょう。
制度の正しい理解が将来の安心につながる
知人から言われた「会社負担の年間46万円が国に盗られている」という表現は、労使折半の表面的な仕組みから生じた誤解に基づいていると考えられます。
本人が納める月約3万8000円と同額を会社が納付することで、将来受け取る月額約15万円の年金や、病気・けが・万が一の際の補償体制が成り立っているのが実情です。
給与明細に書かれている自己負担額だけに目が行きがちですが、会社負担分も含めた制度全体の構造を正しく知ることが重要となります。社会保険料の仕組みをしっかり理解しておけば、将来の資金計画を立てやすくなり、不安の解消にもつながるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー